第301話 竜騎士

俺と脳筋、フィルの三人で他の三人をかばうように、壁になる。

「スターナ!上空の敵だけじゃなく、地面に落ちた敵を狙えるか!?」

「わかったわ~!」

俺の注文に答えるように、地面に無数の魔法陣が設置され、そこに竜騎士が

落ちてくると、罠が発動する。


「がぁぁぁぁ!」「ぎゃっ!」

主にマヒの状態異常に掛けられた竜騎士達は、その場で動けなくなる。

竜も自分の相棒やその仲間に当たると思ったからなのか、攻撃をする事なく

上空へと昇って行った。

スターナの魔法を恐れたのか、他の竜騎士達は上空を舞っているが、さらに

魔法陣を増やし、上空への攻撃を開始する。

ドラゴンに当たった魔法はほとんど聞いていないようだが、竜に乗った

兵士に当たると、行動不能になってるようで、竜が遠くへと逃げていく。


「やっぱりスターナの魔法は、集団相手だとエゲつないわね。」

「ヴァファール王国一番の騎士団がここまで手が出ないなんて……」

「今のは初撃が避けられたからよ~。みんなが守ってくれていなければ、

何にもできないで終わっていたかもしれないし。」

喋りながら魔法を発動できてる分、余裕はあるようだ。が、


「ぬうおおおおおおっ!」

ワミが他の団員と比べて段違いの速度で落下し、槍の先が地面に当てると、

轟音を鳴らしながら地割れが起こる。

「きゃあ!」

「ちょっ!?」

数十mに及ぶ地割れに俺を含めて五人が巻き込まれ、スターナの魔法が中断される。


「ちぃっ!」

体勢を崩され、反撃に移ろうとしたが一歩遅く、ジャンプして竜の上に飛び乗る。

その隙をついて、他の竜騎士達が攻撃を開始してきた。

地面に倒れた兵士達に当たるかと思って、周りを見渡すと誰もいない!?


「ヅギャ!兵士なら、ワミ団長が!」

周りを見渡していた俺が何を探していたのか感づいたのか、詐欺師が

俺に向かって叫ぶ。

あの瞬間に、攻撃、救出を同時にこなすなんて、さすがに王国で最強を誇る

騎士団の団長か。


だが、敵の人数にも限りがある。

このまま、こまめに攻撃してきたところでスターナの魔法でジリ貧確定。

そうすれば勝ち目なんぞないはずだ。

と考えていたが、敵も追い詰められる前に最大級の攻撃を仕掛けてくる。


「全員、飛び降りたである!?」

サーシャの叫び通り、残りの数十騎からなる竜騎士達が全員、降下してきた。

マズい!

「逃げろ!」

俺がそれだけ叫ぶとスターナは理解してくれたように魔法を発動する。

間を置かず、騎士団全員が槍を片手に着地すると、衝撃で地面が完全に割れ、

今までヒビ程度で済んでいたものが、岩盤ごと持ち上がった!


「ぐっ……!」「がはっ!」

俺は落ちてきた竜騎士達が飛び上がる前に、鞘付きの剣や蹴りで昏倒させていく。

他の五人もスターナの転移魔法で遠くへ逃げて、助かったようだ。

倒せるだけ倒したものの、ほとんどは上空に跳ばれたが、俺の前には一人、

槍を構えたままの男がいる。


「いざ!」

気合とともに言葉を吐き出すと、全身のバネを使って、突進しながら突きを

繰り出してくる。そのスピードは並みの人間なら、気付かない内に貫かれているはず。


「悪いな。」

俺はそれを半身で避け、剣の柄を鳩尾へと突き刺した。

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