第300話 国境付近の戦闘

俺達は旅を続け、国境近くまでやってきた。

「もう少し行くと、城砦都市エジオ……だったか?」

「そうです。ワミ団長率いる第1騎士団の方々とお会いした場所です。」

そうだったな。あれは面倒くさい出来事だった。


あと半日ほどで街が見えるとなった頃、遠目に集団が見えた。

「あれは……」

「お久しぶりです、勇者殿。」

集団とは別に一際大きな竜が少し離れたところへ降り立つ。その竜を操っていたのは……

「ワミか。」

こんなところで、こんなタイミングで会いたくはないヤツだった。


「あの、ワミ団長。私達、ヴァファール王国に行きたいんですが。」

「行かせる訳にはいかん。」

やはりな。


「ウルムの命令か?」

「はい。このような事態になり、誠に遺憾ではありますが。」

「アイツが何を企んでいるか知っているのか?」

「騎士団たるもの、王の命令には従わねばなりません。」

頑固だな。少しは融通を利かせてくれるとありがたいんだが。


「ですが、王が間違っていた場合、進言するのが中心の役目じゃないのでしょうか!?」

「それでも引けない時はあるのだ。」

ワミの言葉が聞こえたかのように、遠くにいた集団が一斉に飛び立つ。ワミも

先導するように飛び立ち、こちらへの攻撃を開始し始める。


「勇者殿、その……」

「分かっている。殺したくないんだろう?」

「はい。」

俺もあまり覚えてないとはいえ、顔見知りを殺したくはない。

スターナに頼んで、状態異常用の魔法陣を配置してもらい、発動させたが、

それを食らう前に何人かの兵士が落ちてくる。尋常ではない速度で。


「避けろ!」

俺はともかく、他の連中が食らったらマズい。

落ちてきた衝撃で地面が割れ、土煙が上がる。同時にドラゴンの火炎が

吐き出されるのが見えた。

それが届く直前に竜騎士達は跳躍し、攻撃範囲外に逃げるが、その前に

ステータスを確認した。



騎士団員 Lv19

HP:142  MP:0  ATK:52  DEF:58

INT:28  MGR:34  DEX:53  LUC:46

スキル

【槍の心得】【跳躍】【落下速度上昇】【着地ダメージ無効化】



詳細は分からなかったが、名前から予想するに高高度からの攻撃用に

なっているんだろう。

竜が五列ほどの編隊を組み、一列目の竜騎士が落ちると、騎乗している竜が

炎を吐いてくる。それを跳躍で避けると、自分の竜の背に戻り、今度は二列目の

竜騎士達が落ちてくるという波状攻撃だ。


薬は風で飛ばされ、あまり効果が無いようで、スターナの攻撃も上空に放たれたが、

竜にしか当たらずに、状態異常態勢を持っている竜には効き目が薄かったようだ。

行動不能になっている竜はいない。


あぁ面倒くさい!魔物相手なら手加減不要だというのに!

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