第291話 地下での出会い

人間らしき物は目を開き、口を開いた。

「俺はどうすればいい?」

「お前は城の警備に加われ。」

「分かった。」

生気のない顔でそれだけを言うと、用意されていた服に着替え、さっさと

部屋を出ていこうとする。

となると……


「ちょっと、こっちに来るわよ!?」

「ど、どうしよう!?」

二人が声を潜めながら焦る。下手に階段に向かう見つかるし……

やるしかないか?


「こっちへ。」





俺達は薄暗い通路を進んでいた。

「一体、このお城ってどうなってるのさ?」

「そうね。あの部屋にも通り抜けられる壁があるなんて思わなかったし。」

「あぁ、あれは私が通り抜けられるようにしただけで、本当は普通の壁ですよ。」

「で、お前は何でここにいるんだ?」

先を行く女――レリアに尋ねる。


「そろそろ来る頃かと思いまして、準備をしておこうかと。」

「準備?」

「えぇ。おそらく、ろくに準備もせずに乗り込んでくるかと思いましたので。」

無駄に痛いところを突いてくるな。偶然見つけて追いかけただけだから、

確かに言われてる通りなんだがな。


「ねぇ、ジュガァ。この人、誰なの?」

「ボクも知りたかった。知り合いみたいだし、黙ってたけど。」

「ん?ヴァファール王国一の占い師らしい。言ってなかったか?」

「初耳だよ。だけど、準備だの何だの言ってるけど、ここにいる事自体が

おかしくない?本当に信じていいの?」

「まぁ……な。」

後半はレリアに聞かれないよう小声で疑いの声を上げるが、大体の予想は

付いているので、適当に相槌を打つだけにとどめた。


「そのヴァファール王国一の占い師さんは、どこに向かってるの?」

「もうすぐ着きます。」

言葉通り、光が見えてきた。が、出る先を【見識】で確認すると、誰か

わからないが居るのが確認できたので、レリアに声を掛ける。

「おい。」

「心配してるような事にはなりませんから大丈夫です。」

まるで俺の頭の中を呼んだように、答えを告げられた。そして、出た場所は……


「えっと……」

「また、随分と……」

地下にあるはずなのに、豪華な内装を施された小さな部屋。

ベッドに寝る人物が【見識】に映ったヤツだろう。

体がデカい、ライオンの獣人なんだが、どこかで見た事があるような?


「ふん、貴様か。して、他の連中は?」

獣人は俺達を確認すると、ベッドから体を起こした。

「あまり無理をなされると、お体に障りますよ。」

「心配しているつもりか?笑わせるな。」


二言、三言交わしただけだったが、その姿を見て詐欺師が固まった。

「どうしたの?」

「……まさか。」

向こうも詐欺師に気付いたらしい。


「巫女が来るとは思わんかったな。」

ベッドに腰かけたまま、さらに言葉を続けた。




「余が国王、ジュッドである。楽にするがよい。」

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