第273話 探し物

「大きいである。」

翌日、俺達は塔の中の図書室と呼ばれている場所を訪れたが、さすがに

規模が違う。

見渡す限り本で埋め尽くされているといった状態だ。


「こんなに本があるなんて……頭が痛くなりそうです……」

「僕もどっちかっていうと、頭脳労働苦手だからなぁ。」

脳筋とフィルは本を見るだけで、うんざりしている様子だ。逆にサーシャは

薬関係の本がある事に喜んでいる。

「これ、昔おじいちゃんが探してた本である!えっと……マンドラゴラと

火薬と……」

物騒な単語しか聞こえないのは気のせいだろうか?


「この中から魔王関係の資料を探すのは骨が折れそうね。」

「それでも、やるしかないわね~。」

「仕方ない、手分けするか。」

そう言って、俺と詐欺師とスターナは魔王に関する資料が無いかを

探すことにした。

サーシャは別の本に夢中だし、脳筋とフィルは当てにならなそうだしな。




そうして調べているのだが、想像以上にはかどらない。

原因はやはり量が多過ぎるという事だろう。最初から何を調べたいと

決めていれば、多少は違うのかもしれないが、魔王関連の資料を探したい

だけだと、さすがに目的の物を見つけるのは難しい。


詐欺師とスターナも同じらしく、ちょくちょく進捗を確認してはいるが、

特にめぼしい物は見つかっていないらしい。

「こればっかりは、しょうがないわね。地道に探していくしかないん

じゃない?」

「仕方ないか。」

急いでいる訳でもなし、時間かけてしらみつぶしにするか。


「ふっふっふ……フィルさん、覚悟はいいですか?」

「そっちこそ。」

「では、カードオープン!私は何とフォーカードです!フィルさんは……」

「残念だったね……ストレートフラッシュだよ。」

「そ、そんな……」

アイツらは後で説教してやろう。というか、仮にも宗教国家の中枢で

何やってんだか。


それからどのくらい経ったか、少し疲れを感じ始めた時、目の端に映る人物に

気を取られた。

「今のは……」

何となく俺はそいつの後を付けていく。

不思議な事に、そいつを追っていくと人の気配がしなくなっていく。一応は、

それなりに人もいたはずなのだが。


そして、辿り着いた先はいかにも厳重に警備していますというような扉の前。

しかし現在、扉は開いており警備の人間もいない状態。

誘われてるのが丸わかりで、罠が無いかだけが心配だったが、何故か直感で

それは無いと感じ取り、足を踏み入れていた。


その空間は空気が淀んでいた。

人もいない暗い空間だから当たり前かと思ったが、それだけでもないらしい。

俺が近くにあった本を一冊手に取り開くと、それだけで気分が悪くなった。

【鑑定】でその本を見てみると、


【償いの書】

犯罪を犯した人間の血で記された書物。

耐性の無いものが開くと、意識が昏倒する。


随分と物騒な書物だった。だが、これはまだ軽い方だったらしく、他の書物を

鑑定すると、さらに酷い効果が発動するようなものが大量にあった。

どうやらここは、禁書といった類の物がおいてあるらしい。

その部屋を見て回ると、ふと一冊の本に目が止まった。

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