第252話 クズ野郎をぶちのめす

クズが吹き飛ばされた時、精霊王達の動きも一瞬だが、鈍くなり

その隙を逃さず懐に潜り込んで、イフリートを斬る。

《ぐぅっ!》

もともと好きで戦闘しているわけじゃないからか、斬りつけられても

反撃をしてきた今までと違って、次の行動に間があるように感じる。


《フリちゃん!》

「隙ありです!」

《えっ――きゃあ!》

「こうすれば!」

イフリートに気を取られたシルフに、脳筋が斬りつけ、フィルが全体重を乗せ

ボディプレスをかます。


「ノーム様は、ゆっくりなさっててください~!」

《ぬおわ!?》

スターナが巨大化したノームの足元に、落とし穴を連発で作って、足止めして

くれている。


オンディーヌは、

《行っちゃダメ!ウンディーネちゃんが、あんなヤツの言いなりになる必要

ないから!》

《でも、でもぉ……契約が……》

《じゃあ、私を攻撃して、ね?そうすれば、守ろうとしてるって事に

なるんじゃない?》

どうやら身を挺して、ウンディーネを止めているようだ。

俺はイフリートの側をすり抜けて走る。


そんな俺の少し先に、重いものが落ちる音と悲鳴。

「ぎぃっ!」

背中でも強打したのだろうか、どうにも情けない声を上げて転がるクズの姿。


「あ……ぐっ!」

「よぉ。」

「あ、お前、お前はぁぁぁぁ!」

半狂乱になりながらも、俺に手を向けて反撃をしようとしたのは褒めるべきか。

ご丁寧にも指輪をした腕・・・・・・を突き出そうとしてきてくれてるしな。

それを認識して、剣を抜いた。


「死、ねぇぇぇぇぇ!」

本当は俺に向けて止めるはずだったろう腕は、肘の先から外れて、遠くへ

飛んでいく。


「……あれ、腕、腕が……」

呆けた声を上げ、顔は自分の肘と飛んで行った腕を交互に見比べていた。

「遅すぎる。」

俺が言い終わると同時、忘れていたように腕から血が大量に漏れ出す。


「ぎゃあああああああああああああああああ!」


クズが泣き叫ぶ声だけが、辺りに響いた。





《さて、どうしてくれようか?》

《都合のいい手駒みたいに扱われるのって、あーし嫌いなんだけど。》

《それにウンディーネちゃんを泣かせた分、仕返ししないと気が済まないしね。》

指輪がクズから離れた事によって、精霊王達は自由を取り戻したらしく、

怒り心頭といった感じだ。


「僕の、僕のうでぇ……こんな事をして、タダで済むと思うなよ貴様らぁ!」

この状況で涙、鼻水、よだれ、顔から出る物を全部出しながら強がる精神力は

凄いというか何というか……

死なない様に止血だけは済ませてあるものの、騒ぎすぎて貧血起こして倒れそうに

なるし……面倒だな。やはり「ダメよ。」……詐欺師か?


「アンタの顔、分かりやすくて助かるわ。」

横を見ると詐欺師と……

「ジュ、ジュグワアアアァァァァァァァァァ!」

サーシャが泣きながら飛び込んできた。後ろにはゲイル達も見える。


「ひっぐ……うぐ……」

サーシャが泣き続けるので、ゲイル達に事情を聴こうとしたが無理みたいだ。

扉の向こうから大量の人影が見えたからだ。

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