第225話 一本道で迷子

「外……だね。」

「ですね。」

「そうね。」

俺達は一本道を歩き続けていたはずなのに、外に出てしまっていた。

おかしいのは【見識】で確認しても間違っていない事だ。入った場所と出た場所は

違うので、単純に森を抜けるだけの道になっている。


「フィル、本当は道を進むとどうなるんだ?」

「いやもう、そのままなんだけどね。道の先に泉が見えてくるだけ。」

「他の道はないのか?」

「う~ん……泉に繋がる道以外は、特にないはずなんだけどなぁ。」

どうなっているのか、わからんな。


「とりあえず、もう一度引き返してみましょうか~。」

原因が分からない以上は、それしかないか。

そして来た道を戻るという結論に至ったが、歩いても大して景色が変わる訳でも

なく、長い時間をかけて入ったところに着くだけかと思っていた。


「ヂュッカ。」

「ん、どうした?」

「あそこが何か変である。」

サーシャが違和感をした方向を見てみるが、木があるだけ。他は何も

見つけられなかった。


「おかしいところはないが?」

「でも、密集して生えすぎな気がするである。」

そう言われて確認してみると、一か所だけ木が数十本ほど集まっている箇所が

あった。他の場所を見てみると、木々の間隔は5~10mくらい空いていて、

先を見通せるのに対し、その場所は影や枝葉で見えづらい。


「確かに変ね。」

「どうしましょう。この先に進んでみますか?」

この道を行ったり来たりしても、たどり着けないし、サーシャの勘を信じて

森に入ってみるか。

「なら、俺とサーシャ、詐欺師で先に進んでみる。脳筋達は何かあったら

逃げるかしてくれ。」

「え?でも……」


俺の指示に不満げな脳筋。

「異常があれば、詐欺師は上空に飛んでいけるし、サーシャなら森の異変が

分かるかもしれない。そっちはスターナがいれば外に出やすいし、護衛も

必要だろう?」

「う~……そうですね……」

説明はしたが、それでもまだ不満は残ってそうだ。


「それじゃ行くか。」

「はいは~い。」

「分かったである。」

「ねぇ。」

三人で歩き出そうとしたら、フィルに呼び止められた。


「ん?」

「この子、どうしよう?」

地面にはハリネズミが体を揺らしているというか震えているというか、

小刻みに動きながら、こっちを見ていた。


「そっちで面倒見といてくれ。」

今度こそ森の中に入る。後ろでハリネズミが追って来ようとしていたが、

フィルが抱きかかえていた。

全身鎧がこんな形で役立つとは思わなかった。





「歩くのに邪魔だな。」

「我が輩は楽である♪」

密集した木の奥は整備されていないため、植物は伸び放題で荒れていた。

下手に足を取られるのも危険なので、俺はサーシャを片腕で抱きかかえながら

歩いている。


「アンタ、サーシャには甘いわね。」

「うるさい。」

詐欺師の軽口を聞いたり、サーシャとの会話をしながら奥深くに入っていき、

しばらくすると、

「……コイツは?」

「……ウンディーネ様ね。」

「何で、ここで寝てるであるか?」

木や草に紛れながら、すやすやと寝ていたウンディーネを見つけた。

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