第221話 ウンディーネに会う途中

「で、ウンディーネっていうのが現れる場所は?」

「この山を下りてから、九日ほど歩いた場所にある森の中に、泉が

あるから、そこでいつも通りって感じだね。」

また、そんなに歩くのか。精霊王とやらの頼み事で、ここまで振り回される

とは思わなかった。

だが、ここまで来たら諦めるのもしゃくなので、何としても神鉱石を

加工してもらわないとな。


「で、コイツは本当に大丈夫なのか?」

「多分、問題ないと思うよ。」

俺が言ったのは、後を付いて来る生物――ハリネズミである。ただし、精霊王が

宿っている個体ではなく、あの場で作り出したもの。

ノームは仮の肉体を作り出す魔法を覚えていた。

普通の魔法ではなく、精霊王のみが使えるという、世界に干渉していろいろな

現象を起こせる魔法があるらしいのだが、それを応用したそうだ。

……酒を飲むためだけに、ずいぶんと労力を使ったものだとは思ったが。


その魔法で新しく作り出されたのは、体長30cmくらいのハリネズミだった。

それが今、後を付いて来ている。

理由は綺麗な水を手に入れても、運ぶのが面倒くさいから何とかしろと

言ったために、ノームが急遽作り出したからである。

手に入れた物をコイツに渡せば、ノームの元に持って行ってくれるそうだ。


「多分、会う回数を少しでも減らしたいから取った方法だと思うけど。」

俺もそう思う。

そのハリネズミは物を持ち運ぶ用なので、コミュニケーションなんていうのは

取れないらしいが、俺達の後を離されまいと付いて来る。


「なんか可愛らしいですね。」

「ノームさえ見てなければな。」

「どうしてもノーム様に見えてきちゃうもんね。」

俺達は喋りながら岩山を下り、次の目的地を目指した。






「平和ねぇ~。」

「何もなさ過ぎて暇である。」

あれから四日。特に何事もなく旅を続けているが、町もなく歩き続けるだけ

なので退屈を持て余していた。それに、

「食料も心もとなくなってきたな。」


エルフの村では、買い物で補充する量も限られ、そこからずっと人の

住むところに寄れなかったので、消耗品もなくなってきた。

「目的地まで、あと五日くらいか。途中に町や村はあるのか?」

「あったような、なかったような……この辺りまでは、さすがに来ないから

ちょっと分からないや。」

「そうか。」

あれば少し遠回りしてでもいいから寄りたかったが、確実性がないなら

むやみに探し回るのは無駄になるな。


そう思って、仕方なく歩き続けようとしたら馬車の音が聞こえた。

馬車が通るっていう事は、どこかに人の住む場所があるのか?

と考え、その馬車に乗ってる人に話を聞こうと思って待っていると、

その音はどんどんと近付いてきた。


「ん?あれは……」

近付いてきた馬車は目の前で止まり、ケルベロスが顔を覗かせた。

「どうした?急に……君達は、いつぞやの。」

久しぶりのサーカス団との再会だ。

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