第215話 スプリガン襲撃

外に出て、しばらく歩き続ける。場所はもう村の外だ。

野生の動物の鳴き声が五月蠅いくらいに喚き立てている。

そして、

「ギィ!」

剣を振り、スプリガンを斬り倒す。


村で宿を探していた時、何となくこの森の全貌を見てみるかと思い、【見識】を

使ったところ、離れたところに密集している群れがあった。

気になっていたので、その群れがどうするかを注意していたら、深夜になって

いくつかのグループに分かれて動き出した。

俺は全員を起こし、敵が迫って来てるかもしれないと説明して、先行して

出る事にした。

もしも俺がしばらく戻って来なかったら、村を警備しているヤツらにも話をして

一緒に守ってやってくれと言い含めて。


「しかし、数が多いな。」

「アギィ!」

斬り伏せて行ってはいるものの、ざっと百は超える数が、こちらに向かって

きている。たいした脅威ではないものの、あまり村に向かわせたくはないため、

なるべく斬り逃しないようにするのが面倒くさい。


「兄ちゃん!」

「ちょ、ちょっと何よこの数!?」

後ろからの声に振り向くと、フィルとリヴィだった。


「村は?」

「あぁ、エルフの警備兵とみんなが守ってくれてるから安心だよ!」

「何でこんなに多い訳!?気持ち悪い!」

リヴィはギャーギャー騒ぎながら弓で撃ち落としていく。


「何故、二人はこっちに?」

「兄ちゃんが迷ってたらマズいと思っ……て!」

喋ってる間にも襲ってくるスプリガンを斧で斬り倒しながら答える。

「リヴィはエルフだから森に詳しいし、ボクはこれがあるからね!」

そう言ってコンパスのような物を見せてきた。

「それは一定方向しか指さないんじゃなかったか?」

「だから指してる方と逆に進んでみた。そしたら兄ちゃんを見つけたって訳。」

「まさか偶然か?」

「いや、まぁスプリガンがこっちから来てたから何となく合ってる気は

してたけどね。」

勘で深夜の森を歩き回るなよ。


「それにしても……」

本当に後から後から湧いてくる。

しかも石を投げてきたり、噛みつこうとしたり、爪でひっかこうとしたり、

鬱陶しい事、この上ない。


「おかしいわね。」

「何がだ?」

「スプリガンは相手を罠にかけたりして攻撃してくるはずなのに、数が

多いとはいえ、直接襲ってくるなんて……」

そういえば、そう言っていたな。


喋りながらも数を減らしているはずだったが、時間が経っても倒し切れる

様子が無いどころか……

「数が増えてきてないか?」

「もうイヤ~!!」

「うわっ、ちょ!石投げんな、このぉ!」

俺一人なら問題ないんだがな。もう、魔法でこの辺り一帯吹き飛ばすか?

そう思った時、【見識】で変な場所があるのに気が付いた。


「何だここは?」

ある一点からスプリガンが湧き出るようにして出現していた。

最初は、そこに集まっているものと思っていたが、こっちに襲い掛かる人数が

多くなり、ばらけているはずなのに、その一点だけ数が減っていない。


「フィル、リヴィ、付いて来い。」

「兄ちゃん!?」

「ま、待ちなさいよ!」

俺はその場所へ走って向かった。

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