第214話 リヴィ

その日、広場のような場所で村人全員と食事をする事になった。

やたらデカい肉料理や果物、野菜の数々が所狭しと並び、みんな思い思いに

食べまくっている。

「やたら豪勢だな。」

「まぁね。ヘリオと私を助けてくれた恩人を歓迎するための食事だからね。」

俺達の近くにリヴィが来て座る。

「あの時はお礼もまともに言えなかったしね。」

「いえいえ、とにかく無事で良かったです。」


リヴィからは、その後にフレーグベルから元の場所に戻してもらった事を少し、

俺達はあれから光の森に来るまでの事を話した。

「神鉱石ねぇ、聞いたことないわね。」

「実際あるんだからしょうがない。」

「それで、ノーム様のところにか。じゃあ明日は森の出口まで送ってあげるわ。」

「いいであるか?」

「もちろんよ。ってか、そうしないと道分からないでしょ?」

どうも転移結界とやらは、相当遠い場所まで運んでくれたらしく、ここから

ドワーフがいる岩山近くまで自力で行くとなると、森に慣れたエルフならともかく、

他の種族なら迷いに迷って、ひと月かかっても出れるかどうかというほどらしい。


「その点、転移結界を使えばあっという間に、出口に辿り着くわ。」

「なら、お願いするわね~。」

というか、他に選択肢はない。


「そういえば、スプリガンだっけ?あんな魔物、この近くにいたっけ?」

詐欺師が不思議そうに尋ねる。

「最近現れだしたのよ。」

「へぇ、そうなんだ。前はピッガの町近くに出てたから知ってたけど。」

「ちなみにどの位前だ?」

「四年くらいね。」

ずい分と急に現れたもんだ。


「スプリガンには困っててね。エルフでも子供が一人で外に出ようとすると

襲われる事がしょっちゅうあって、今は保護者付きでしか外に出さないように

しているわ。」

「じゃあヘリオの保護者はリヴィなのね。」

「そうよ。甥っ子なの。」

あまり、顔の見分けがつかないから似てるかどうかが分からない。


「お前の保護者はいないのか?」

「いないわよ。私は成人してるし。」

「いくつなんだ?」

「336歳よ。」

さすがエルフ。長寿なのは変わらないんだな。


「それで変なのに捕まるのは注意力散漫だな。」

「うっ!……そ、その件は忘れましょ?」

痛いところを突かれたのか、顔が苦虫を噛み潰していたようになっていた。

その後、ヘリオの家族がやって来て礼を言われたり、エルフ達が宴会芸を

披露したりと、色々あった食事も終わり、俺達は宿に泊まる事にした。


「宿があるのか。」

「そうだよ。どうかした?」

いや、確かにここのエルフは人馴れしてるし、特に村に入る事に制限を

掛けていないと言っていたし、おかしい事はないか……

何となく、地球でのイメージが強すぎて違和感があるな。




その日の深夜、

「……」

部屋で寝ていた俺は、外に出ていた。

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