第210話 シルフとの交渉
「登場からして、軽すぎないか……?」
「いや、ほら、シルフ様だし。」
「そうね、シルフ様だもの。」
詐欺師とフィルは何故か納得している。
《こら、無視しないの。あーしに用あったんじゃないの?》
「あぁ、実はな……」
そんなこんなで、イフリートからの要求を伝えた。
《え~?フリちゃんと?》
「フリちゃん?」
《そ、イフリートだから、フリちゃん。可愛いっしょ?》
物凄い笑顔になるが、同意できない事を自信満々に言われてもな。
「シルフ様、お願いできないでしょうか?」
《フリちゃんね~……あんま、やる気でな~い。》
気持ちは痛いほどわかるから、あまり責める気にもならんが……
「一応、理由を教えてくれ。」
《フリちゃんって、暑苦しいし……》
だろうな。
《変なとこでテンション高くなるし……》
分かる。
《うっとうしい時あるし……》
やっぱり、そう思うか。
《名前が可愛くても、見た目可愛くないんだも~ん。》
「……よし、帰るか。」
「ゆ、勇者殿!?」
「帰ったらダメである。」
「いや、今シルフが言った事に、賛成するしかなくてな。強制するのは
悪い気がしてきた。」
「そうなったら神鉱石が加工できないよ?」
そうだった……あの件さえなければ、本当に放っておくのに。
「あ~……交換条件だ。」
《?》
「何か困ってる事はないか?もしあれば、それを解決してやる。その代わりに
デートしてやってくれないか?」
《フリちゃんに言い寄られてる事かな。》
「それ以外で頼む。」
そうするとシルフは考え込んだ。
《ん~……あ、じゃあ欲しい物とかでもい~い?》
「欲しい物か。持って来れるような物であれば、努力はする。」
「シルフ様は、何が欲しいのかしら~?」
《宝石!》
そんなのを欲しがるとは、精霊でも女性という事なのだろうか?
「宝石と一括りに言われても、どういうのがいいんだ?」
《もっちろん、普通の宝石じゃないの。んっとね、ノムりんが最近になって
作り方を編み出したらしいんだけど……》
「待て、ノムりんって誰だ?」
《ノムりんって言ったら一人しかいないじゃない。ノームのノムりん。》
知るか。
「ノーム様は土属性の力を持っていて、自分で鉱石なんかを作る事が
できるんだ。」
「それは便利だな。」
《話を戻すとね、ノムりんが新しい宝石を作ったらしいんだけど、それが
欲しいな~って。》
また、たらい回しにされるのか。だが、こちらから切り出した以上は
仕方がないな。
「分かった。じゃあ、それを貰えるように交渉すればいいんだな?」
《えっ、ホントにやってくれんの?ありがと~!》
「取ったら戻ってくる。その後にでも約束を守ってくれればいい。」
《オッケー。んじゃ、楽しみに待ってるね~。》
そうしてシルフの姿は風に溶けて消えていった。
「ノーム様は、ここからさらに十日くらい離れた場所にいるよ。」
これだけいろんな場所に行かされて、最後はやっぱり無理だ。なんて事になったら
イフリートに八つ当たりでもしに行くか。
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