第184話 まさかの遭遇
あれからどのくらい経ったか、こまめに休憩場所があるおかげで、
体力を回復しながら進む事ができるが、それでも先が分からないと、不安や
モチベーションが下がってしまう。
「この洞窟に入ったら最後、正確な時間なんて分からないからね。」
「じゃあ、どうやって最深部までかかる時間が分かるんですか?確か、十日以上
っていうお話でしたが。」
「外で待ってる人に日数聞いて、それの半分で考えるんだよ。」
「なるほど。」
ずいぶんとアバウトだな。しかも、その当時は魔物が少なかったらしいから、
今の方が時間はかかるだろう。
「あの鉱石が簡単に加工できればよかったんだが……」
「まぁ加工がしにくいっていうのは、それだけ強度があるって事だからね。
素材としては良い物なんだよ。」
そういう考え方もあるか。
それからは魔物を倒して、休憩場所で食事を取ったり、休みながら進んでいった。
それにしても、ヘルハウンドが出る回数が多い。というかアイツしか出てこない。
「あの魔物、いくら何でも多過ぎじゃないですか?」
「うん、確かに変なんだ。洞窟内のいろんなところに生息してるから
他の魔物よりは遭遇率が高いんだけど……」
「む~……」
サーシャが何かを考えてる。
「どうした?」
「強い魔物に追われてたりするである?」
どうやら、あの犬より強い魔物が奥からやってきてるせいで、入り口の近くまで
逃げてきて、遭遇する確率が高くなってるんじゃないかと予測してるらしい。
「でも、それなら他の魔物とも遭遇するんじゃない?」
「そうとは限らないかも。あの魔物は洞窟の中では相当足が速い方だけど、
溶岩には潜れないんだ。」
「その言い方だと、潜る魔物もいるのかしら~?」
「うん。」
さすがに俺も溶岩に直で触れて、無傷でいられる自信はないな。
そんなのに出会ったら無視が一番だ。
「つまり、他の魔物は逃げ遅れたか、溶岩の中に逃げ込んだって事?」
「もしかしたら……」
《グオオオオオォォォォォォォ!》
遠くの方から、咆哮が聞こえた。
「い、今の何?」
「このまま先に進んだら、危険な予感がするんですけど……」
引き返すべきか、そう思った瞬間だった。
ドォォォォォォォン!
「な!?」
地面に亀裂が入り、崩れた。
「きゃああぁぁぁぁ!」「うわぁぁぁぁぁ!」「お、落ちるである!」
詐欺師は空を飛んでるから影響はないが、脳筋とサーシャ、フィルが予想外の
出来事に対応できず、そのまま落下した。
「スターナ!」
「任せて!」
それだけで通じたらしく、自分に転移魔法をかけて、サーシャの近くに行くと
抱きかかえ、転移魔法でどこかへ移動した。
俺は脳筋とフィルを抱えて、岩の上を跳んで安全な場所を探し、着地した。
「大丈夫か?」
「う、うん。何とか……」
「死ぬかと思いました……」
辺りを見回すと、スターナとサーシャも無事だった事にホッとする。
周りは溶岩だらけで、足場になるような箇所も少なく、逃げ場所があったのは
運が良かったと思う。
「みんな~!大丈……」
詐欺師が血相を変えながら飛んできたが、途中で固まった。
「リュリュさん、どうかしたんですか?」
「あ、アレ……」
詐欺師の指さす方を見ると、
《この臭いを漂わせているヤツは、誰だ!》
そこには、ドラゴンがいた。
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