第185話 万事休すか

遠くの方から、そいつは緩慢な動きで喋りながら近寄って来た。

《忘れもしない……我が憎き宿敵、クァドリアの臭いがする!》

鼻をヒクヒクさせながら、どんどんと俺に接近する。


戦闘になる事を考えて、ステータスを確認したが、

「マズい……」

予想以上だった。


ブランジオ Lv86

HP:8421  MP:7815  ATK:802  DEF:813

INT:672  MGR:901  DEX:688  LUC:876

スキル

【状態異常無効】【即死無効】【属性攻撃耐性】【限界突破】【火の守り】

【惑いの咆哮】【灼熱の吐息】


《そこのオス、貴様か?》

ステータスからして、おそらく俺を最初に殺したドラゴンとほとんど同じ強さだ。

多分、前のヤツがステータスが強く、こっちが属性の優位性を持ったドラゴン

なんだろう。

そして、会話から察するにクァドリアっていうのが、俺を殺してくれたドラゴンの

名前らしい。


《我が問いに答えぬか、下賤なる人間よ!》

フロア全体が揺れるほどの大声で、叫ぶドラゴン。

「そ、そんな……ボク、ドラゴンがいるなんて話、聞いた事がない……」

フィルが横で震えて呟く。他の四人も動けないでいる。


「そいつなら死んだ。」

《何だと?》

「聞こえなかったか?死んだと言ったんだ。」

本当に合ってるのかどうかは知らないが、この世から消えたことを伝える。


《ふっ……ふはははははははは!》

その言葉に、いきなり笑い出す。

「何かおかしかったか?」

《まさか、人間ごときが我を騙そうなどと……笑いが止まらぬわ。》

いや、事実なんだが。


俺のステータスを確認すればと言いたかったが、【見識】のスキルが無かった。

《我を舐めた報い、思い知れ。》

言い切ると、息を大量に吸い込んだので、俺はとっさに脳筋とフィルを抱えて

スターナ達のところに跳ぶ!


ゴォウ!


風の鳴る音とともに、ドラゴンの口から炎が吐き出される。

が、俺達はもうそこにはいない。

《ほう?避けられるとは思わなんだぞ。》


本格的にマズい。

さすがに、あのステータスの敵と戦うには、他の五人がいるのも不利だし、

地形も問題だ。

「スターナ、転移魔法でどこかに逃げてろ。」

「勇者ちゃんは!?」

「誰かが時間稼ぎする必要があるだろ?」

俺は剣を抜き、駆け出す。


《ふん、我に向かってくるとは、命知らずめ。》

こっちに戦闘の意志が無くても襲ってきた割には減らない口だ。

あいつのステータスを見るに、魔法攻撃はあまり効果がなさそうだし、

近づくしかないか。

そんな事を考えながら、足場となる岩の上を走り抜けて接近する。


《ぬぅん!》

ドラゴンが体を半回転させながら、尻尾で薙ぎ払ってくる。それを最小限で

避けようとしたが、無理だった。

「チッ……地形の不利はどうにもならんか。」

何故なら、溶岩交じりの岩も一緒に飛んでくるからだ。

どうしても大きく離れないと尻尾以外に当たってしまうので、接近戦に

持ち込めない。


《どうした、人間?》

俺はドラゴンの表情なんぞ分からないが、ニタニタと笑ってる気がする。

ムカつくがどうする?一旦引くべきか……

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