第177話 ダウロ(ガングルフ王国)
「こちら側も、また変わったヤツらばっかりだな。」
翌日、俺達はさっさと手続きを済ませて、ガングルフ王国側に到着した。
周りを見渡すと、見た目が凄い人種がいたので、詐欺師に質問してみる。
「あれは何ていう人種だ?」
俺が尋ねたのは、水や炎で体が構成されている人達。
「え?あぁ、あの人達は精霊よ。全身が、その人を表す属性で形作られてるの。」
「危険じゃないのか?特に火なんかは。」
「大丈夫よ。見た目はアレだけど、人間の体温と変わらないくらいよ。」
確かに近くを通られても、熱いわけでもないし、そこら辺はやはり
ファンタジー世界か。
次の町に向かう前に、興味本位でこの町を少し見て回ることにした。
最初は飯が食えるところへ行ったのだが、その店の看板に、
"魔法いかがですか?"と書いてあった。
「何だこれは?」
「そのままの意味だよ。さっきの精霊達が属性魔法をかけてもらって
お腹一杯にするんだ。」
俺が尋ねてる横で、実際に魔法を食らっている場面を見たが、攻撃魔法を
食らって、金を払う光景は違和感があった。
「人間でも食べられるものはないのか?」
「頼めば出てくるよ。」
イオネ王国側では食ってこなかったから、ここで軽食をお任せで頼む。
出てきたのは魚を香草とパンで挟んだサンドイッチだ。
「いただきます。……甘いですね。」
「花の蜜を大量にかけてるのよ。ん~美味し!」
口の中がベトつくくらいの甘さで、味自体は悪くないが苦手だったんだが、
詐欺師は美味いと言ってどんどんと胃に収めていく。
そういや、コイツ甘党だったか。
「フェアリーは甘い物、特に花の蜜が大好きなのよ~。リュリュちゃんを見て、
沢山入れてくれたのかしらね~。」
そう言ったスターナを見ると、減りが遅い。サーシャと脳筋を見ても
同様だったので、やはり苦手らしい。
フィルだけ蜜なしを頼んでいたのは、このためか。見習ってお任せに
しなければよかった。
次は雑貨屋を見て回ると、サーシャが目を輝かせた。理由は、
「エルフの薬か。」
「効果は万能薬に近い……でも、材料が……」
ブツブツと呟きながら、どんな物かを確かめている。
「やっぱり薬の事となると、楽しそうねサーシャは。」
「もうちょっと女の子らしい物に、興味を持ってもいいと思うんですけどね。」
武器を見ると喜ぶヤツが、何か言ってる。
サーシャは、安いヤツを何本か買って、バッグに入れていた。
「もういいのか?」
「大丈夫である。後で中身を確認して、似たようなのを作れるか
試してみるである。」
その後も、いろいろと歩いたが、特に目新しい物もなくなったので、
そろそろ次の町へ向かう事にした。
「じゃあ、行くか。道案内は任せたぞ。」
「うん。って言っても、街道沿いに歩いていくだけなんだけどね。」
そして、ダウロから離れて歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます