第176話 ダウロ(イオネ王国側)
それから、さらに三日後の夕方、ダウロが見えてきた。
「到着である。」
「夜も遅いし、今日はここで泊まりですね。」
そうして、やっと硬い地面以外で眠れると意気揚々と町に入ったのだが、
「なんで、また歓楽街なのよ……」
町にはサキュバスやインキュバスが溢れていた。まるで、クアーズ王国の時と
同じだ。
「あら~、知らなかった?国境沿いの町はずっと歓楽街化されてるのよ。」
「何でですか?」
「いろんな国の人達が集まってるから、お金は落ちやすいし、骨抜きにされて、
もし何かあっても争いになりにくいのよ~。」
つまり、やる事やらせて、戦闘意欲なんぞを生まれさせないようにさせてるのか。
中々に合理的で腹黒だな。
「だが、他の国の偉そうなヤツらが来る場合はどうする?」
「偉そうなヤツってアンタね……」
「その場合は、ティリア宗教都市側から入ってきてもらってるわ。」
そうか、イオネ王国に来れるところは、もう一ヶ所あったんだったな。
まぁ今回はスターナがいるし、前ほど疲れる事もないだろ。
「甘かった……」
やっと宿に着いて椅子に腰かける。
町を歩いていたら、
「あれ、スターナ様?珍しいですね、どうですか今夜?」
「スターナ様じゃない。一緒に楽しんでく?」
「ふふふ……私って、どっちでもいけるんだけどスターナ様、試してみませんか?」
と、前以上に声を掛けられて、追っ払うのが面倒くさかった……
しかも、仮にも女王のスターナをナンパしてくるのは、神経が図太いのか
なんなのか。割合は男が三、女は七だった。
「何で女の方が多いんだよ……」
他にも脳筋、詐欺師はもちろん、サーシャやフィルもナンパされた。
正確にはされる寸前だったが、追っ払った。
俺は特に何もなかったが、運が良かったんだろう。
近づいてきたヤツが、脳筋を見て「ひっ!」っという声を漏らした後に、
走って逃げたのは気のせいだな、そうしとこう。
「今度来る時は、一気に町を抜けるようにしましょ……」
「賛成です。」
「あらあら、こういうのも活気があっていいじゃない。」
今は何となく一つの部屋に集まって話をしている。
「やっと明日はガングルフ王国だね。」
「今日の内に、向こうに行くのは駄目であるか?」
「国境を越える事ができるのは、基本的に夕方までなんですよ。」
そうだったのか?
「何でだ?」
「単純に夜は治安が悪くなるからよ。不審者でも通しちゃったら大問題だしね。」
言われりゃそうだ。
その後は、全員でゆったりした時間を過ごしていたが、腹が減って来たので、
部屋に持ってきてもらう事にした。
どうやら、この町ではルームサービスのようなものがあるらしい。
そして、作られてきた料理は……
「これ、蛇ね……」
「こっちはにんにくとニラの炒め物だよ、凄い臭いがする。」
他にもゲテモノに近いようなものや、味が濃い料理、つまり精力が付く物
ばかりだった。
あぁそうだ、前も変な物が出てきたんだった。
横目で料理を持ってきたサキュバスに目をやると、
「お兄さん、六人でなんてやりますね~。ウチの特製料理を食べて
頑張ってね♪」
そう言って、出て行った。
仕方なしに料理を食べたが、風呂に入っても中々臭いが取れなかった。
どんだけだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます