第171話 やっと外へ

目の前が通常の色に戻ってきて、周りを見渡すと岩だらけだった。

どうやら採掘場に戻って来れたようで、上を見ると30mくらいの地点に、

俺が落ちた場所が見える。

「どうやら夢という訳でも無さそうだな。」

自称神の老人に渡された袋を確認して、外に出るために岩を登り、

歩き出した。


しかしこの袋、よく考えたら一回しか使えないと言っていたが、確認の

為に素材を出したら終わるだろ。とか考えたが、タダで貰った物に文句は言えない。

「しょうがない、とりあえず腕のいい鍛冶師でも探すか。」

次の目的が決まった頃、外の明かりが見えるたので、少しだけ

歩く速度を速める。


「勇者殿!」

「トゥクカ!」

入り口付近で、脳筋とサーシャにタックルと思うくらいの突撃を

かまされたが、踏ん張って留める。


「穴に落ちていったって聞いて、心配だったんですよ!?もう!もう!!」

「トゥクカ!大丈夫である?怪我してないである!?」

二人が心配してくれている事に嬉しくはあったが、あまり表に出すのも

恥ずかしいので、

「問題ない。俺はそう簡単には死なん。」

とだけ言っておいた。


「良かった~。逃げろとは言われてたけど、凄い心配したのよ?」

「ちゃんと逃げてくれたのは、いい判断だった。で、子供は?」

「あの子ならリュリュちゃんとお話し中よ。」

そう言ってスターナの目線の先を追うと、詐欺師と子供が口ゲンカ

してた。


脳筋とサーシャが腕を組んできて離してくれないので、仕方なくそのまま歩いて近寄って行った。

「あ、トゥクカ!無事だったのね。アンタなら一応、大丈夫だと思ってたけど心配だったのよ?」

「心配かけて悪かったな。で、何してたんだ?」

「あ!?」

子供が俺を見て、大声を上げた。


「さっき助けてくれた人!ありがとな、命の恩人さん!」

「さっき?そういえば、あれからどのくらい経ったんだ?」

「スターナが出てきてから、二十分くらいかしら。」

詐欺師が答える。どうやら洞窟内での出来事は、現実では短い間の

出来事だったらしい。

この世界の神か……ずい分と人間臭い神だったな。


なんとなく、あの老人を思い出していると詐欺師と子供が口ゲンカを再開した。

「あ、そんな事より、ちんちくりんって何よ!」

「うっさい!先に子供扱いしてきた癖に!」

今の二言だけでも、くだらない話と分かる。


助けた子供はサーシャより小さい、130cmくらいと思われる身長に、

アリアのより重そうな全身鎧とヘルメットを着け、隙間から茶髪がかった

クセっ毛が見える。

「言っとくけど、ボクは十八歳だぞ!」

何だと?


「もしかしてアンタって……」

「そう、ドワーフだ!」

子供、もといドワーフは胸を張って威張っている。

確かドワーフとは成人しても他の種族ほど大きくはならないんだったか。

そういえば、ドワーフはどこかで見た事があるような……?


「そんな訳で謝ってもらおうか!」

「い・や・よ!そんな心の狭い事自体、子供の証拠じゃない!」

くだらなさ過ぎて、どうでもいい。

まだ収まりそうにないので、あの逃げ出したサイクロプス達はどうなったかをスターナに聞いたが、手酷い目にあったらしい。


まず、魔鉱石の採掘場に素人を入れて採掘させたという事で仲間から

殴られ、しかも最近は岩盤が脆くなってたのを注意されたばかりで、

それを説明しない状態でツアーなんぞ開いたため、参加した客から

蹴られ、ドワーフと俺を見捨てたという話を聞いたサーシャがしびれ薬や

毒を食らわせ、そこを脳筋がタコ殴り、スターナが落とし穴に落として、

詐欺師がこれ以上は死ぬからと必死になって三人を止めたと。

「ま、あのくらいは罰を受けて貰わないと~。」

「当然です!」

「自業自得であるな。」

多分、三人がキレた時は他のヤツらもドン引きだっただろうな……

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