第172話 町へ戻って

いつまでもここにいるのも何だし、他のヤツらも町に戻ったみたい

なので、俺達も町に行く事にした。

「まったくもう!チビッちゃい癖に生意気ね!」

「お前がそれを言うのか、このちんちくりん!」

「ま、ま、また言ったわね~!」


詐欺師とドワーフは歩きながらも、まだケンカを続けている。

「仲いいですね。」

「ケンカしてるである。」

「本気でケンカしてる訳ではありませんし、そういう物ですよ。」

脳筋と詐欺師がそれを見て喋る。いや、それはいいんだが……


「いい加減に離してくれ。」

「いやである。」

「その、もうちょっとだけ、えへへ……」

腕を組んだままは非常に歩きにくい。


「勇者ちゃん、モテモテね~。」

「兄ちゃん、勇者なんだ!?」

ケンカを途中で止めて、ドワーフがこっちに喋りかけてきた。


「女見せびらかしながら歩くなんてやるね。」

「その言い方は人聞きが悪い。」

「ごめんごめん。そういや自己紹介まだだったね。ボクはフィル、

よろしく。」

フィルと名乗ったドワーフに、こちらからも自己紹介を済ませた。


「ふ~ん、魔王退治ね。」

「その旅の途中なんです。フィルさんは何であの採掘ツアーに?」

「ボクはドワーフだからね。やっぱり武器や防具の素材には目が無いん

だけど、魔鉱石を掘れるなんて聞いたら、体が疼いてきてね。でも

まさか、あんな目に遭うとは思わなかったよ。」

まぁ岩に挟まって抜けなくなるとは、運が無いにも程があるな。


「力には自信があったんだけど、上手く関節が動かない形で

挟まっちゃってね。しかも、武器の斧も巻き込まれちゃったよ。

高かったのに……」

フィルも武器を無くしたのか。偶然とはいえ、少し親近感が湧いた。


そうして話しているうちに町に付いたので、食堂に向かう事にした。

頼んだはいいが、料理が来る前に採掘場に向かったから、結局食べてないので、無性に腹が減っている。今の時間にやってるかは疑問だが。

「ご飯か、ボクも行っていい?」

「うぇ~……」

詐欺師が嫌そうな顔をした。


「何だよ。」

「べっつに~……」

「いいもんね、ダメって言われても付いてくから。」

どうやら決定事項らしい。俺は特に構いはしないが。


食堂に行くと、ちょうど灯を落としているところだったが、俺達を

見つけると中へ入るように促してくれた。

「いや、アンタらの行動は立派だよ。もっと力がある種族ですら、無視を

決め込んでたってのによ。」

サイクロプスが助けを求める時点で、他の種族じゃキツいだろうな。


「おいちゃん感動しちまったよ。あの時、食いっぱぐれてたし、ここに

来たって事は腹減ってんだろ?腕によりをかけて作るから食ってってくれよ!」

「いや、採掘場帰りの俺達が、店に入ったら汚れるだろ。持ち帰りでいい。」

「気にすんな!ここらのヤツらはみんな仕事帰りの汚ねぇ格好のまま、

飯を食ったりすんだからよ!」


それは飲食店としてどうなんだろうか?と思ったが、空腹には勝てずに

中に入れてもらった。

そうして店主が料理を作り直して、持ってきたのが特大の照り焼き

ステーキやハンバーグ、フライドチキンなど肉料理のオンパレード。


「美味そうだな。」

「美味そうじゃない、美味ぇのよコレが。片付けしなきゃなんないから

奥に行ってるが、なんかあったら呼んでくれ。」

そうして店主は店の奥へと入っていった。


腹が減ってるのもあって、全員凄い勢いで齧り付く。

「ん~、驚くほど柔らかくて美味し~。」

「でも、どうして肉料理ばかりであるか?」

「肉体労働する人が多いから体力付けるために、この地域の料理は肉料理がメインなのよ。」

「なるほど。あ、ハンバーグも美味しそうですね。」

「ボクのと少し交換する?」

ガヤガヤと騒がしい食事が続いたが、時間をかけてようやく食べ終わった頃、ふと思い出した。


「ドワーフって鍛冶が得意なんだったか?」

「ん?そうだよ。」

神鉱石を加工してもらうか。いつまでも持ってるだけじゃ意味ないしな。

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