第140話 サラマンダーはどう動くのか?

二手に分かれ、洞窟に着いた俺達を待ち受けていたのは、

「いや、ご足労申し訳ありませんな!」

こんな夜中の訪問にも関わらず、妙にテンションの高い長の姿だった。


「ささ、こちらへどうぞ。」

「……えぇ。」

スターナも怪しむそぶりを見せるが、とりあえずは言う通りにしておく

みたいなので、俺もそれに倣う。


「先ほどは申し訳ありませんでしたな。少し感情的になってた面もありますので

平にご容赦を。」

「そんな事はいいわよ~。それより、リザードマンとの戦争の件なんだけど。」

「それに関してはですな、若い者に聞いてみると好きで争っている訳ではないと、

リザードマンが攻めてこなければ特に戦争を続ける……」

おかしい。こんな下手に出るようなヤツじゃなかったはず。

洞窟に入りなおすまで数時間、何があった?


言い分を聞いてると、停戦をしてもいい、その橋渡しをしてくれと懇願してくるが、

不審なのはスターナも同じようで、はぐらかしつつ辺りに気を張ってる。

【見識】でも確認してみる。

すると、自分達の周りは前に訪ねたときと同じ数の配置がされていて、

問題ないように思えたが、洞窟全体にいたサラマンダーの総数が二十人程、

少なくなっているのに気付いた。


二十人?いくら何でも減りすぎじゃないか?

「なぁ、他のヤツらはどうした?少なくなってるんじゃないか?」

「人間ごときが気安く喋りかけるな!」

直接聞こうとしたら、怒鳴り返された。そういや脳筋が話しかけた時も見下した

言い方をされたな。


「サラマンダーの数が減ってる?どこかに行ってるの?」

「狩りですよ。気にする事はありません。」

その態度が何かを隠しているようで胸騒ぎを覚えた俺は、スターナへ外に出るよう

促す。


「どちらへ参られるのですかな?」

「ちょっとね、用事ができちゃったみたい。」

「では、外まで送らせましょう。」

洞窟の外に出て、再度【見識】を使うが、やはり数が足りない。


「アルラウネの村に戻るぞ。どのくらいで戻れる?」

「道は覚えてるし、勇者ちゃんだけだから二時間かからないでいけると思うけど、

どうしたの?」

「嫌な予感がする。」



そうして転移魔法でアルラウネの村に到着した時には、

「キャアアア!」「ダレカァ!」

サラマンダー達が村に火を放っていた。


「あ?腰抜け女王じゃねぇか。何でここに?」

「何してるの!?今すぐ止めなさい!」

「嫌だね!力づくで止めたらどうだ?」

「それはいい提案だ。」

俺はサラマンダーをぶん殴って、走り出した。


村には先に三人が来てるはず。防戦を強いられてるなら、一番火の手が大きい場所に

いるはずと予測して、その場所――村長の家に向かう。

家の壁は壊され、中には火を吹くサラマンダーと今なお焼かれているアルラウネが

数人、 そして、

「ぐうぅぅぅぅ!!」

「アリア!逃げるである!」

背中を焼かれながらサーシャに覆い被さって火から守っているアリアの姿。

サーシャは何かの薬を投げつけているが、火は間断無く吐き続けられているため、

効果は薄い。


「ハハッ!死ねよ!さっさと――」

耳障りな言葉を放つトカゲの首をはね飛ばす。

俺の攻撃に気付いた他のトカゲが攻撃対象をこちらに移すが遅い。

「水よ。深き生命の源よ。我が前に立ちふさがりし愚かな魂を

貫き滅ぼしたまえ…アイススピアー!」

トカゲの串刺しができあがった。

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