第141話 再びサラマンダーの洞窟へ

「チュグワ!アリアが!」

「わかってる!水よ。深き生命の源よ。傷付き倒れた者の清らかな魂を

癒したまえ。キュア!」

魔法を唱えた途端、辺りにいたアルラウネを含めて、アリアの火傷が治っていった。

完治したのを確認するとアリアが動いて、こちらに顔を向けてきた。


「勇者殿……」

「安心しろ、傷は治した。」

「すみません……」

「なんで謝る?」

アリアが次のセリフを言おうとしたが、

「勇者ちゃーん!みんな~!大丈夫~!?」

スタ-ナが詐欺師と一緒に走ってきた。


「ああ。」

「二人も平気!?」

そう言って心配そうに見つめる。

気付くと、村長の家付近以外は火が消え、トカゲどもも無力化されていた。

詐欺師はベルで攻撃しつつ、消化に回ってたが、スターナを見つけて

合流したらしい。

サーシャは俺にしがみついてきて、詐欺師は家周りの消火をしている。

脳筋は座り込んで動かなかった。


「ア アリガト マタ タスケテクレテ」

「気にするな。それよりもコイツらはどうやって来たんだ?俺達が停戦の話し合いを

しに行ってから、こっちに攻めてくるまで時間が無さすぎるだろ。」

「転移の魔石を使ったんでしょうね~。他の国に比べて比較的、安価で

手に入るから。

国の重要施設なんかは個人が特定できない限り、転移を受け付けないように結界が

張ってあるけれど、それ以外は高レベルの転移魔法を使える人しか防ぐ

手段はないもの。」

……便利すぎて気付かなかったが、中々物騒だな。


「そんなもん個人で使えるようにしていいのか?」

「この国以外は規制されてるわよ~。移動距離が短かったり、個人の

販売を停止したり。

そうじゃないと偵察、暗殺なんでもござれってなっちゃうもの~。」

「厄介だな。」

まぁ方法は分かったとして、ケンカ売ってきたお返しはしないとな。


「スターナ。」

「どうしたの勇者ちゃん?」

「このトカゲ達だが、ある程度なら構わんよな?」

「……本当は止めたいけれど、その様子じゃ無理みたいね。でも全員はダメよ?

サラマンダーだって少数でも戦争したくない人達がいるはずだから、その人達は、ね?」

「善処する。」

困った顔をするスターナに三人を任せて、俺は走って目的地へ向かう。




それから約一日半、

「ふぅ……スターナの転移魔法がどれだけ役立つか身に染みたな。」

再度、道を確認しながら走ってきたから遅くなったとはいえ、一週間かかる距離を

相当縮めて、たどり着いたのは洞窟――トカゲどもの住処だ。


そして洞窟に近付くと、以前と同じように中から湧き出てくる。

「人間が何の用だ!」

「お前らの長に会わせろ。」

俺の言葉と殺気に怯んだ様子だったが、

「敵だ!殺せ!」「おおぉぉぉぉ!」

一匹がそう言うと俺に近い数匹が襲い掛かってきた。


敵襲と洞窟の中に知らせないのは人間一人に負ける訳がないとたかを括っているから

だろうな。スターナと約束したから、なるべく殺さないようにするのが面倒くさい。

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