第139話 リザードマンはどうする?
その後、どれだけ話しても態度を変えないサラマンダーの長に痺れを
切らしたので、 また来ると伝え、先にリザードマンの長に話を付けに
行く事にした。
「こっちでの話もまとまってないから、本当は手分けした方が
効率いいんだけどね~。」
「王がいないと話を聞いてくれるかどうかすら分からんからな。」
ちなみに捕まえたサラマンダーに関しては、
「敵に捕らえられて、おめおめと生きてるとは恥さらしですな。牢に閉じ込めて
おきましょう。」
と身柄を引き取られた。
そういう意味で連れてきた訳ではないんだが。
ずい分と時間が掛かったので、飯を食ってから向かったのは、アルラウネの村から
歩いて三日ほどの場所にある湿地帯の中心部、そこにある三角州だ。
スターナの魔法で、道に迷いながらも五時間くらいで到着できた。
辺りはすっかり夜になってしまったが。
「凄いである。」
「でっかいわね~。」
三角州のど真ん中には巨木が立っており、根元のウロに居住地を作っているらしい。
しばらくすると、サラマンダーの洞窟に行ったときと同じように中から兵士が
出てきた。
「貴様ら、何者だ!」
「ワタシはスターナ。一応、女王をやってるわ。長を出してくれるかしら?」
やり取りまで同じだった。
「スターナ様……何故、我々の地に足をお運びに?」
こっちは長がさっさと出てきてくれたがな。
「サラマンダーとの戦争を止めろですか……」
「そうよ。無駄な殺生は嫌いなのよ~。どうにかならないかしら?」
「そうは申されましても、ヤツらとの確執は根深いものでして。
そう簡単に停戦する事はできません。何より、若い連中が納得しないでしょうな。」
サラマンダーよりは理解力があったが、それでもこちらの言う事には
従えないとの返答だった。
「あなたはこのままでいいと思ってるの?」
「サラマンダー側が降伏しない限り、こちらから手を引くのはありませんな。」
「他の種族に迷惑がかかっても?」
「決着が付けば謝罪でもなんでも致します。ですが、今は耐えてもらう
他ないです。」
種族間の争いがここまで面倒だとは……
どちらとも話し合いは進まず、俺達はリザードマンの住処を後にして、食事休憩を
取りつつ、どうするかを考えていた。
「ふぅ、ダメね~。」
「どちらも頑固で嫌になるわ。」
「でも、このままだとアルラウネさん達が酷い状況に置かれたままです。」
「どちらかが折れてくれればいいであるが。」
「長年の恨みつらみが積もってるところに、ポッと出のよくわからん人間達や王が
来たところで説得される理由がないから無理だろうな。」
「う~……」
どうしても解決の糸口が見つからず悩んでいたが、結局はラチが明かないので
二手に分かれる事にした。
「私達は村に行ってきます。」
「手間かけさせちゃってごめんね~。」
「ここから近いから問題ないである。」
スターナと俺は洞窟へ行き、サラマンダーとの話し合いを続行。
脳筋、詐欺師、サーシャはアルラウネに進捗を説明し、最悪の場合は移住してくれと
説得するためだ。
この国の連中は飽きたら村や町を移動させるくらいだし、難しくはないだろ。
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