第138話 サラマンダーのいる洞窟へ

まずは、俺達が倒したサラマンダーの身柄についても話し合う必要があるため、

村から一週間ほど離れたところにある山の麓の洞窟を目指すが、一晩だけ泊まることにした。

ベッドもないし、床は硬いが、風をしのげて敵に夜襲される心配がないだけでも

少しは気が楽だろう。


日が変わって、村長が言ってた方向へ移動するが、スターナの転移魔法が役に

立った。

目視できる場所に転移できると言っても限界はあるみたいだが、連続で飛べば

別に大した問題でもないらしい。魔力も自動で回復するしな。

やはり転移魔法は便利だ。

ただし、通常は一人で転移を繰り返すため、五人を転移させるのは骨が折れるのに

変わりないらしい。

前に脳筋と詐欺師を連れて転移した際に、少し時間が掛かったのもそのせいだとか。


時間をかけて、方向なども多少の修正をしつつ、三時間程度で洞窟に辿り着けたが、

ここからが問題だ。どうやって長に会おうか?

そう考えていると中から蟻のようにサラマンダーが出てきた。

「貴様ら、何者だ!」

「ワタシはスターナ。一応、女王をやってるわ。長を出してくれるかしら?」

スターナが前に出て言うが、

「あの腰抜けか?さっさと消えろ!」

中々の言われようだな。心なしかスタ-ナもへこんでいる。


「ワタシ、ちゃんと仕事やってたと思うんだけどな~……」

訂正、目に見えてへこんでるな。

「こいつの処分もあるから、さっさと取り次げ。」

俺の言葉に視線が集まると同時、肩に担いでるサラマンダーにも視線がいく。

すると、

「敵襲ー!」

敵認定、早すぎないか?話くらい聞こうとすると思ったんだが。


「どうすんのよ!?」

「全員、殴り倒そうか。」

「止めるである。」

いや、実際に襲われたら、それしかないんじゃないか?


そう考えていると、洞窟から一際大きいサラマンダーが出てきた。

「長!」

「慌てるな!敵ぐらい滅ぼせば――スタ-ナ様ではありませんか。」

どうやら、コイツが長らしい。

「あの、最初に物騒な言葉が聞こえたんですが……」

気のせいにしておけ。


長の計らいで、洞窟の中にある部屋に通された。

「ここは来賓室でしてな。ゆっくりされるといい。」

洞窟にそんな部屋があること自体が違和感だが、まぁいいか。


「それで話とは?ウチの若い者が粗相でも?」

「粗相と言えばそうなんだけど、とりあえず質問するわね。」

スタ-ナが代表して、リザードマンとの戦争、アルラウネへの仕打ちに

ついて疑問を投げかける。


「なんだ、そのような事ですか。」

「あら、ずいぶんと軽い言いぐさね。」

「当たり前です。なるべくしてなっただけですからな。」


説明によると、サラマンダーとリザードマンは祖先を同じくする、別の種族。

自分達こそが正しい進化を遂げたのだと、どちらも譲らなかったそうだが、

何代か前の長同士が無益な争いを嫌い、停戦協定を結んだという。

だが、禍根は残るもので両陣営とも戦争を再開するべきだ、との声が

上がってきたため、穏健派の先代が変わったのをキッカケとして、

再び戦い始めたそうだ。

アルラウネに対しては、敵の味方はすべて敵だから殺すべき、と。


「いくら何でも、普通に過ごしている人を傷付けるなんて恥ずかしいとは思いませんか!?」

「思わんな。人間はコレだから困る。敵はもちろん、そうなりそうなヤツも始末して

然るべきだろう?」

あっさりと返答された。価値観の違うヤツを説得するのは難しい。

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