第130話 戦いの準備

暗殺ギルドと襲撃内容の詳細をまとめる。

人数は30人前後、現在のギルドの場所は特定できない。

理由は足を掴ませないために、しょっちゅう移動しているから。

もう少し早ければ移動前に叩き潰せたそうだが、タイミングが悪かった。

襲撃日時はちょうど1日後くらい、全員でかかるようにとの指示だった。

実入りがいいとはいえ、国の上に立つ連中を殺そうとするわけだから、

本当に全員が襲ってくるかは不明。

六魔とスターナの城に直接、襲撃するらしい。


「どう迎え撃つ?それにここまで情報がバレている事を相手は知っている

のか?」

「情報に関してはワタシの近衛部隊で諜報に優れている者が調査

したから、相手方は気付いてないと思うの。それに気付いた時点で

殺しにかかるしね。」

「なるほどな。」

「でも、暗殺ギルドの連中は殺しを仕事にしているだけあって、実力は

それなりにあるわ。マノムちゃんの使用人だって、護衛に強い子を選んで

いたはずだもの。」

「それが一人だけで全滅か。」

実力者の集まりとなると、俺はともかく他のヤツらが心配だな。


「そんな訳だから、こちらもトラップを仕掛けようかと思うの。」

「トラップ?」

「まずはグループ分けね。」

六魔、スターナ、俺たち四人の計十一人を苦手分野を補えるように

四グループ程度に分けて、さらにそれぞれ城の精鋭を付けるという。


グループはこんな感じになった。

1.スターナ、脳筋

2.レフィカ、ラテニヴァ、アッセムドゥ、詐欺師

3.フレーグベル、レブズ、マノム、サーシャ

4.俺


まずは、リーダーとして広範囲の敵を相手取る事ができるヤツを選んだ。

スターナ、レフィカ、フレーグベル、俺だ。


次にスターナは実力は確かで一人でも殲滅できるとは思うが、物理攻撃に弱過ぎる。

不慮の事態に備えて物理特化の誰かと組ませようとして脳筋を付けた。

レフィカがリーダーのグループはラテニヴァとアッセムドゥがサポート、詐欺師は

倒し損ねた敵の足止め要因。

フレーグベルのグループはマノムの能力が強力なので、後方支援して

もらいつつ、先日のように倒せなかった敵を他が倒していく。サーシャも

状態異常の支援だ。


俺は一人で十分と言い、メンバーや精鋭も含めて他グループに回すように

した。

「本当にいいの?本当に?」

「問題ない。それに言うならお前もだろ。」

心配されているが、大丈夫なんだからしょうがない。

というか俺一人で全員を相手すると言ったら、尋常じゃない勢いで

却下された。

何かあったらどうするのか?だそうだ。


「で、ここからだ。連中はそれぞれの城に直接来るんだろ?」

「そこは魔法を使ってチョチョイっとね~。」

何か考えているらしい。




「ここか。準備はいいか?」

「ああ、誰が殺しても文句は言わない。報酬は成功したヤツ一人の

手柄。」

「ヒャハ!俺は強いのが殺せりゃなんでもいいぜ!自分が負けるはずが

ないと思ってるヤツが死に掛けて絶望の表情に変わる瞬間が楽しみ

なんだよ!」

俺達は今、スターナの城に来ている。依頼さえあれば誰だって殺す、

それが暗殺ギルド唯一の流儀だ。


進入経路はすでに調べているので、そこへ向かう。

着いたのは何も無い平原、だが地面を調べると草と土の下に、蓋のような

ものが見えてきたので外すと階段が現れる。

秘密の抜け道。敵が攻め込んできた時に逃げるための通路だが、

ここから敵が入ってくるとは夢にも思うまい。

「よし、それじゃあ――」


言葉を遮るように地面に魔方陣が現れ、光る。

ヒュン!


「な、ここは――!?」

さっきまでの平原ではない。デカい部屋だ。

しかもメンバーも入れ替わって六魔の城に行ったヤツが、一緒の部屋に

いた。

魔石が割れた音も聞こえなかったとするとこれは転移魔法?そんな

馬鹿な!

これほどの人数や距離に関係なく好きなところに発動できるなんて!?

そう思った時、


「ようやく到着か。」

響いた声の方を向くと、黒目黒髪の男がこちらを見ていた。

「さっさと終わらせようか。もちろん覚悟はできてるよな?」

やたら背筋が寒くなった。

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