第127話 スターナは強いのか?
「そういえば、スターナ様はどうやって王になられたのですか?」
「ワタシはね~、まず先代の王がワタシの父だったの。それで昔から
見てたんだけど暴君って言葉が似合うような人でね。自国の人達が凄く
苦しんでたわ~。
何度も止めたんだけど、聞いてくれなくてね。遂によその国に
戦争するための準備をし出したから滅しちゃったの~。」
「……今、物騒な単語が聞こえたような?」
「この天然入ってそうな人がそんな事、言う訳ないじゃない。
きっと”めっ!”しちゃったの間違いよ、そうに決まってるわ。」
俺も気のせいだと思うことにしよう。
「それで、次の王を決める時に六魔のみんなとワタシで戦ったのよ~。
一番強かったのがワタシだったから、そのまま王になったって感じね。」
見た目と雰囲気から強いとは思えないな。
だが、レフィカも魔法を使わせたら厄介とか言ってたし、見かけに
よらないんだろう。
「じゃあ、もう一回戦って勝てば文句ないですよね?」
「そうね~。」
「じゃあ十対一で!」
レフィカが無茶を言い出した。
「十人?俺達も入ってるのか?」
「もちろんよ。」
「却下だ。俺達は説得する気で来てる。」
「え~!」
喚くな、うっとうしい。
あの後も色々と言い続けていたが、結局は六対一で戦う事になったので
全員で城の中庭に移動した。
六魔の連中もだが、スターナも見かけに寄らず好戦的らしいな。
思ったよりもやる気になってる。
「面倒くさい……」
「ジュクア殿さえいれば、妾は別に……」
二人を除けばだが、こっちを見るな。
先にスターナのステータスを確認しておくか。
スターナ Lv40
HP:110 MP:3325 ATK:6 DEF:2
INT:203 MGR:197 DEX:25 LUC:132
スキル
【空間魔法・罠】【魔法ダメージ半減】【MP自動回復】
【状態異常抵抗】
魔法に特化しているにしても、それ関係の数値はこの世界で
トップクラスか。
数値だけならドラゴンよりも強いっていうのは凄いな。
それに引き換え、物理に関する値の低さが尋常じゃないな。
キノコより下ってどういう事だよ?偏るにもほどがある。
【空間魔法・罠】っていうのは何だ?
「じゃあ行くわ!」
レフィカが指を鳴らすと同時に、スターナの体を炎が包む。
「どう?」
「うふふ、まだまだよ~。」
全然ダメージを食らってない。
魔法はやはり効かんにしても防御すらしてないのは余裕の表れか。
その隙にラテニヴァとレブズが走って近寄り両側からぶん殴る。
「が!」
「ぎゃん!……ちょっと、痛いじゃない!」
スターナの姿が消え、二人でカウンター気味に殴りあう事になった。
ちなみにレブズも脳筋ステータスだ。
「――ジャッ!」
アッセムドゥが少し離れたところに出現したスターナに酸を
吐き出したが、風で軌道を逸らされている。
それよりアイツ……いつの間にか治ってやがる。さっきまでの状態は
嘘か。
後でもう一回半殺しにしておこう。
フレーグベルとマノムはもう動く気がなさそうだ。
「スターナ様が勝つに10金貨。」
「妾もじゃ。意味がないのう。」
賭けしてんなよ。
「も~、本気でやらないならこっちが本気を出すわよ?」
スターナの宣言で空気が重くなると同時に、
「な、何ですかこれ!?」
「これも攻撃なの?」
中庭の至るところに魔方陣が現れた。
魔方陣の大きさも色もそれぞれ異なり、空中にも出現している。
「あ、勇者ちゃん達は触っちゃダメよ~。」
忠告を受けた。これが【空間魔法・罠】か?
「それじゃいってみましょ~。」
相変わらず軽い感じだったが、あらゆる魔方陣から火・水・風・土の
魔法が出る、剣や槍などの武器も出る、地面が落とし穴になる、
状態異常になる、転移させられる、他にもいろんな効果がある魔方陣が
出たり、消えたりして六魔を翻弄していた。
もう一方的な展開だ。
「えげつないである。」
俺も同じ考えだ。
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