第122話 暴動を止めろ

あの後、詐欺師に言って最初に出て行った方を尾行させた。

俺はもう一人の尾行、あまり大人数で動くとバレる可能性があるため

脳筋とサーシャは待機。そして分かった事。


今、この町には決起をおこそうと企むのが潜んでて、数はそれなり。

集合場所はマノムの城に行くまでの森の中。

たったそれだけ。

不必要な会話も行動もせずに淡々と過ごされると情報も集めにくい。

正確な数がわかれば俺が壊滅させても良かったが、やはり集合した時に

全滅させた方が後腐れなさそうだ。



さて、夜の三時前だ。

情報が集まらないと分かったので、全員が夜に備えて休息を取り、

森に向かう。

【見識】で人数と正確な場所を把握すると、十八人が森の奥まった

ところに集まっていた。


「どうやら、この先に集まっているらしい。」

「では一斉に突撃して捕まえましょう。」

「そうね。」

しばらく歩き、襲撃者を視界に収める。


「マノムは今まで好き勝手に生きてきた。町の者達から重税を

取り立てて、自分だけは贅の限りを尽くして城に引きこもっている。

こんな横暴が許されるはずが無い!」

小声ではあるが、怒りに燃えているのが感じ取れた。

あの町は活気というものがなかったのを思い出す。どうやらアイツには

教え込む必要があるらしいな。色々と。


「これからマノムには天罰を受けてもらう。その命をもって。」

「「オォーーー!」」

興奮が絶好調だな。そろそろ行くか。


「そこまでだ。」

「なんだお前ら!?」

「私達は「殺れ!」いきなり!?」

リーダー格っぽいのが命令を下す。判断は早いな。


前衛、中衛、後衛に三分の一ずつ分かれ前衛が突撃してきた。

中衛は槍を基本武器にして隙を狙い攻撃するようだ。後衛は魔法を

唱え始める。キチンと分担がされ、自分の役割を把握し、リーダーの

言葉を聞いた瞬間に行動できるあたり、よく訓練されているようだ。が、


「ふっ!」

俺は一撃で前衛の三人ほど薙ぎ払う。

「はぁぁっ!」

脳筋も強い。いつもはそんな感じがしないが、前衛二人を同時に

相手取る。

「我、尊き神に願い奉る。目の前にいる者の動きを封じたまえ!」

詐欺師は通常の攻撃は効かないと判断したのか、前衛の残り一人の動きを

封じにかかった。

足元に纏わりつく土で上手く動けなくなっている。

サーシャは、

「これでどうである!?」

中衛に向かって薬を投げた。相手がフラフラとし始める。


ここまでほんの数秒、こちらも思いのほか連携が取れている。

それでも数には勝てずに後衛の魔法が飛んでくる。

通常なら避けるしかないんだろうが、俺が前に出て受け止める。


【土魔法の心得】をラーニングしました。


これで四属性を全部覚えたな。

脳筋は一人倒し、詐欺師はまだ手こずっている。アイツは攻撃が

弱いからな。

サーシャは睡眠薬を使ったらしく、中衛が四人ほど倒れた。


残るは前衛二人、中衛二人、後衛六人。

リーダーは後衛として戦っている。しかし、そこで思わぬ事態が。


「あぁ!失敗するである!てい!」

サーシャの投げた薬が敵の後衛に向かう。

だが俺の横を通り過ぎようとしたビンが爆発した。


ヒュン!


「「「え?」」」




寸前の出来事を思い出す。

サーシャが薬を作っていた。そこまではいい。

薬が失敗して投げ捨てた。ここもいい。

投げた薬が暴発……しかもよりによって転移の効果があったらしい。

俺は飛ばされてしまった。

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