第120話 キノコ料理の味は?

朝になって全員でレブズの城に行った俺達は珍味を取ってきたと話を

した。

「ふぅん?そのキノコが珍しい食材なのね。アタクシも見たことないから本当っぽいわね。」

「取ってきただけで試食すらしてない状態だがな。」

「そんなのいいわよ。さっさと調理しちゃってちょうだい。」

「いいのか?」

「絶対に毒を取り除けるんでしょ?だったらお任せしちゃうわん。

下手に期待させられると、食べてガッカリってパターンもあるもの。」


本人がそう言うならいいか、という事で俺が調理する事になった。

無難にバター炒めでもしておけばいいだろ。

毒抜きして調理していると美味そうな匂いが漂ってきた。匂いだけだと

高級食材にも劣らない味を想像させてくれる。そんな香りだった。


「よし、できた。」

「いい匂い~!」

「美味しそうである。」

「味見してみたいです!」

三人も匂いにやられて、食欲が湧いてきたようだ。

十匹分調理したし、量もそこそこ多いからみんなで一切れずつ味見する。


「「「「いただきます。」」」」

そのキノコを口に入れた瞬間、口の中に香りが広がった。

味が舌を刺激してピリッとした。その衝撃が体中に広がり脳髄を貫く。

その何とも言えぬ味わい……そう、これは……


くっそ不味い!!

苦味、エグみ、酸味、辛味、塩味……ほんの少しならアクセントになる

はずなのに尋常じゃない勢いで全身を駆け巡る。

脳が危険信号を凄い勢いで鳴らしているがもう遅い。

そして俺は気を失った……




「……う……にこ……めちゃ……」


うっ……?ここは?

意識が朦朧とする中、周りを見渡すとキッチンの床に倒れ込んでた。

三人も同様で俺の近くにいる。

キッチンを使用していたはずなのに、なぜか薄暗くなっているのが

気になる。


「……まい……れすご……」


さっきから何だ?変な声が聞こえる。

その声が聞こえた方を向くと……


「うま~い!!何これ、何なの!?これだけいろんな味覚を充実させてくれる食材なんて初めてよぉ!!」

レブズがキノコ炒めをガツガツと食っていた。

薄暗い中、巨漢のオカマが皿の上の料理をかき込みながら涙を流している

場面はホラー以外の何物でもない。

俺ですら悲鳴を上げそうだったが、

「うぇ……気持ち悪――ギャアアアアァァァァァァァ!!」

詐欺師がタイミングよく起きて先に絶叫した。




「あの料理、美味しかったわ~!もう文句なしの合格よ!」

「アレを食って美味いとか……単なる悪食じゃないのか……?」

頭が痛い……

三人も一緒らしく頭を抑えている。

「あれの美味しさが分からないなんて可哀想な子達ねぇ。口に入れただけで多種多様な味が感じれるなんて、どんな食材でも無理よ。」

「そうか……」

もうどうでもいい。


「で、協力はしてくれるんだろうな?」

「もっちろんよぉ!喜んでお手伝いしちゃうわぁ!」

これでやっと五人目か……


この世界に来て魔物相手にも楽勝だった俺が、料理の味で

気絶するとは思わなかった……ムイアめ、自分達より美味しいだのと

嘘を付きやがって!次に見かけたら食ってやる!


ムイアへの復讐を考えたが、それより今は体調が悪いのでレブズの城に

一日、間借りする事にした。

ふと思い出し、気力を振り絞って町まで行くとコボルトの店は臨時休業の

札が掛かっていた。悪い事をしたな。

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