第119話 コボルトの店

「早速来て頂けたんですね。ありがとうございます。」

対応したのは昼と同じコボルトだったので、話を聞くにはちょうど

良かった。


「注文と頼みが、少し手が空いた時でいいが聞きたい事がある。」

「では先にお料理を伺います。」

全員が料理を頼んで、しばらくするとテーブルの上に料理が

乗せられていく。


「これで以上でしたかね。ついでに店の具合を見て回ったんですが、

この入りだと二十分か三十分くらいで一旦、区切り付くかと。その後で

構わないですか?」

「問題ない。悪いな。」

「いえいえ、では当店自慢の料理をお楽しみください。」

そうしてコボルトは他の席を回りだす。


「凄い美味しいです!王宮の料理に匹敵するかも!」

「ん~!ほっぺ落ちそ~!」

「……」

サーシャは無言でかき込んでる。美味いのもそうだろうが、よほど腹が

減ってたんだな。成長期に悪い事したか……休憩して昼食取るべき

だった。


みんな別々の料理を頼み、好きなように食うバイキング形式だったが、

机の上にあるのは野菜炒め、肉を揚げたもの、スープなどがあり、

俺も口にする。

「美味いな。」

野菜炒めは甘みがあるのにピリ辛のタレが絶妙のアクセントになって、

しゃきしゃきとした歯応えと合わさり、飽きが来ない。

揚げ物は薬味を柔らかい肉で包んでじっくり揚げられたらしく、

旨みが詰まった肉汁とさっぱりとした薬味の後味でスルスルと胃に

収まる。

スープは具なしで透明だったが、口に入れると少しの塩味と旨みで今までの料理の味をゆっくりと胃に洗い流していくために、他の料理をもう一度

口にしたくなるように計算されている。


とても美味い料理を堪能して、全員が満足してゆったりとした時間に

なった頃、

「お待たせいたしました。それでご用件のほうは?」

「ああ、これなんだが珍味でいいのか?」

コボルトの店員が来たので、ミザウを見せてみる。


「これは?」

「どうやらムイアが美味いって言ったキノコらしいんだが……」

「? ムイアもキノコですよね?」

「いや、気にしないでくれ。で、どうなんだ?」

「ん~……こんなキノコ見たことがありません。もしかしたら新種

かも……あの、良ければいくつかいただけませんか?」

と申し出を受けた。

【鑑定】で確認して、食用とする場合は十分ほど茹でて加熱すれば毒が

消えるとあったので、胞子の件も含めて取り扱いに注意するように含め、

半分ほど渡した。


「興味深いですね。今までにない食材を調理するのは料理に携わる者と

して非常に楽しいです。こんな貴重な物をありがとうございます。

お礼代わりに今回のお食事代はいくらか割引いたしますよ。」

「助かる。」

そして、食堂を出て宿屋に向かい部屋を取る。


「明日はコレをレブズに持っていくか。」

「上手くいけばいいんだけどね~。」

「大丈夫ですよ!みんなで頑張って調理しましょう!」

「お前が一番センスなかったがな。」

「うぐぅっ!」

「デュッカ、本当の事でも言っちゃダメ。」

「ぐはぁ!」


サーシャの悪気ない一言が止めを刺した。まぁいい、部屋に戻って

寝よう。

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