第116話 ムイアの天敵

「数年に一度しか手に入らないものがこんなに簡単に取れていいんですかね?」

「問題がある訳じゃなし、いいんじゃないか?じゃあ目的も達成したし帰るか。」

サーシャの手の中でキューキューとムイアが暴れる。食われたくない必死の

抵抗か。すると、

「あの~……ちょっと待ってくれない?」

「今度は詐欺師か。なんだ?」

「……そのムイアが助けてって言ってるように聞こえるんだけど。」

詐欺師が変な事を言い出した。


「頭でも打ったか?変になったか?幻覚か?幻聴「うっさいわね!!聞こえるんだから

しょうがないでしょ!?」」

「言葉がわかるんですか?」

「うん、そうみたい。」

この世界に精神病院というのはないのか?


「……アンタが今すっごい失礼な事を考えてるのは分かるわ。」

「いきなりムイアの話が分かるって言う方がどうかしてる。」

「でも、このムイアを持って帰らないとレブズに協力してもらえないであるよ?」

「う~ん……」

ムイアがさらに暴れだす。


「え?なに?どうしてこんな事するんですか?だって。」

「美味しいものを持って帰らないと困りますしね。」

「じゃあ我らよりも、もっと美味しいもの教えてあげますから!だそうよ。」

「俺達の言葉が分かるのか?」

「そうみたい。」

キノコに知性があるとか、久しぶりにファンタジー世界の一面を見た気がする。


「アンタ達よりも美味しいものって?ふんふん……同じキノコの一種でミザウって

のが美味しい?本当?」

「どうしますか?」

「それがどこにあるか連れて行ってくれるなら考えてもいい。」

サーシャに目配せすると、そっと地面に放してやった。


それからしばらく歩き続けるムイアの後ろを追いかけていくと、

「凄いである。」

開けた場所に出たと思ったら、そこには小さな村みたいなものができていた。

もちろん住人はムイアだけだ。


「逃げ惑ってるな。」

「そうですね。」

人間が来たせいでムイア達は大慌てで家に閉じこもったり、森の奥深くに

入っていこうとしていた。


俺達が捕まえたムイアが一歩前に出る。そして一喝?するみたいに今までよりも

大きく鳴くと、全員が動きを止めてこっちを見てきた。

いや、眼はないが多分そうだろう。

「な、なんか怖いんですけど。」

「夢に出ないといいけどね……」


さっきのムイアが俺達の事を説明し始めてるらしい。

「何て言ってるんだ?」

「えっとね。


逃げるな。今すぐに取って食われるというわけじゃない。それよりも上手くいけば

俺達の天敵であるミザウを退治してくれる味方になってくれるかもしれないぞ?


って。」

一通りの説明が終わったらしく、俺達はさらに移動させられ中央広場みたいな

ところに集められた。

そこに並ぶムイア達が器用に足を折り曲げ、祈りを捧げる感じて頭を下げてきた。


「ミザウ共には迷惑させられていたのです。森の養分は好き放題に取っていくし、

我らが水を吸収している時に遊びと称して押さえつけてきて。過剰摂取で死ぬ者

まで出てくる始末……どうか退治するのを手伝っていただけないでしょうか!?」


これはキノコの戦争にいいように利用されているんじゃないか?

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