第115話 これからどうする?
レブズの統治する町は、
「こんだけ店があってもね~……」
「必要ないだろ。」
「多過ぎるである。」
「まさか八割が飲食店とは……」
脳筋が言った通り、ほとんどが飯を食うための場所。
アイツ馬鹿なのか?いや間違えた。アイツ馬鹿だな。
だが、思ってるよりは賑やかで、町の財政を潤す効果はあるらしい。
「で、これからどうしましょう?」
「美味い料理といわれてもな。どうやって作ればいいのか……」
四人で悩んでいた時、声がかけられた。
「おや?美味しい料理をご希望ですか?」
話しかけてきたのは……久しぶりに見た、コボルトだ。
「そんなところね。」
「でしたら是非ウチの店で食べていきませんか?味はバツグンですよ!?」
「あ~……食べるのは私達じゃなくてね?」
「レブズという人に出す食事である。」
聞いて小首を傾げる。……癒されるな。
「レブズ様ですか?美味しい料理を提供したいという事でよろしいのでしょうか?」
「そうである。」
「難しい注文ですね。レブズ様自身が美食家なため舌も肥えていらっしゃいますし、
そこら辺は食べつくしているかと……」
「そうですよね。」
「もしかしたら
珍味?
「例えば?」
「この近くの森のどこかに生えているという幻のキノコ、ムイアとかですかね。」
「それを出せば喜んで食うのか?」
「もしかしたらですがね。美食家というからにはいろいろな食材や料理を口に
したいものかと思いまして。」
日本食に似せて作った料理は、少し美味しいと言われる程度だったがな。
「そのムイアはどこに生えてるんだ?」
「申し訳ありませんが、分からないんですよ。」
「どうして?」
「逃げますので。」
……逃げる?
「キノコが?」
「はい。」
「どうやってですか?」
「走ってです。」
「つまり足があるである?」
「ありますよ。」
足が付いて走って逃げるキノコ、ムイア……気持ち悪いな。
「特徴を教えてもらえるか?」
「色は白くて足が生えてて、大きさとしては拳大くらいですね。
見つかると鳴き声を上げながら走って逃げます。
幻というだけあって、数年に一回くらいしか取れないんですがね。」
それ魔物じゃないのか?
他に方法もないため行くだけ行ってみるかとまとまり、コボルトに今度来た時は
食事を頼むと伝えて森に向かった。
「薄暗いですね。」
「じめ~っとしてるのも嫌な感じよね~……でもキノコにはいいのかしら?」
確かに菌類が繁殖するにはちょうどいいかもな。
サーシャは道すがら薬の材料になりそうな草をちぎったりして、バッグに
詰めていた。
【見識】で辺りを確認するが、動くものはない。
いや、まぁキノコだしな。反応しないかもしれない。
とりあえず見つけられたら運がいいくらいで歩いていると、
「あ。」
サーシャが声を上げた。
「どうした?」
「これ。」
手に持ったものを差し出してきたので見てみると……
キューキューと鳴き声を上げる足の生えたムイアだった。
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