第108話 フレーグベルの人柄

俺達の部屋にやって来たのは、メイド達をまとめていた……

「エレナと申します。」

エレナだった。


「力添え?」

「はい。」

「邪魔者扱いしていたヤツに対して、エラい態度の変えようだな。」

「勇者殿!もう!」

「緊急事態ですので。」

切羽詰ってるらしいな。話だけは聞いておこうか。


「で、何があったんだ?」

「実は昨日からリリーというメイドが戻らないのです。」

「……それだけか?」

「まぁそうです。」

「馬鹿馬鹿しい。」

「テュクニュア、もう少し詳しく話を聞くである。」

そのヌメっとした名前の呼び方は勘弁して欲しい。


「普通であれば問題ないかもしれませんが、私たちには一大事なのです。」

「どういう事よ?」

「実はあの城にいるメイド達は違法な取り扱いを受けていたんです。」

エレナの話をまとめると、こういう事だった。


フレーグベル以外で城にいる連中は全員が元奴隷。

奴隷は召使いとして扱われるという話だが、城にいたのは闇で取引されていて、

相当酷い扱いをされたらしい。

そこにフレーグベルがやって来て、闇取引してる連中を潰す。または奴隷を

買い取るかして引き取られたという。もちろんエレナもその一人だったと。

女ばかりなのは、男の奴隷は数自体が少なく、通常の召使いとして雇われる方が

多いので裏の需要がないかららしい。


「そんな事をするヤツに見えなかったがな。」

「ですが、事実として私たちは助けられました。その時に思ったのです。

この命を懸けても、あの方をお守りしようと。」

「助けてあげなさいよ、ジュギャ。」

「それは置いといてもだ、一晩いなくなったくらいで騒ぐ事なのか?」

「リリーは一番最近にやって来たメイドです。ですので奴隷としての間の

トラウマが抜けきっていなく、まだ一人で寝るという事すらできない状態

なのです。」

それが一日中、行方不明か。

何かあったと思うのが普通だな。


「手がかりはあるである?」

「最後に私が見かけたのは昼前に町に買い物へ行くよう命じた時です。

町へ着いてすぐに一緒にいたメイドと手分けして買い物をしていたらしいの

ですが、 集合時間になっても現れなかったと。」

「集合時間は何時だ?」

「町へ来る際は自由時間も含めているので四時としています。」

町に着いた時間は昼過ぎ……一時前後として、三時間か。


「わかった。手伝ってやる。」

「ありがとうございます。」

「ただし、次に城を訪ねた時はアイツに喋らせるようにしろよ?」

「私からも口添えさせていただきます。」

「ちなみにリリーってのはどんなやつだ?」

「青髪のショートヘアーで身長は150cmほど、メイド服のままで町に

来ています。」

その他にもいくつかの情報を話した後、エレナは部屋を出て行った。


「変わり者かと思ってたけど……いや、変わり者に間違いはないんだけど

いい人みたいね、フレーグベル様。」

「そうだな。」

アッセムドゥとは違うと分かって、安心だな。


いなくなったリリーの行方を捜すため、俺達は町に出た。

最初は腹ごしらえを兼ねて、昨日の食堂に顔を出してみる。

「らっしゃい!お?また来てくれたんすね。」

「ああ、少し聞きたい事もあってな。」

朝食――昨日のローストビーフサンドを頼むついでにリリーについて知らないか

聞いてみた。


「フレーグベル様の城のメイドっすか?ウチには来てないっすね。」

「見かけてもいないか?」

「自分は見てないっすが、メイドさんは大体が買出しで町に下りてくるんで

食材売ってるところか雑貨屋とかの方が見かけてるんじゃないですか?」

「なるほど、悪かったな時間を取らせて。」

「だいじょぶっすよ。んじゃ今すぐ作ってお持ちしますんで。」

店主が店の奥に引っ込んでいった。


腹に料理を詰め込んだら次に聞き込みをする場所が決まった。

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