第78話 沖に向かって出発

「ふぉぉぉぉぉ!?……?ここどこ?」

詐欺師が起きた。

「海だ。」

「さっき、何かエライ目に遭った気がする……二回くらい。」

一回目は昔の話だな。


「あれ?今日の晩御飯、鳥も取れたんだ?コレ食べていい?」

「好きなだけ食え。」

なんせお前が釣った鳥だしな。

「こういうのも弱肉強食って言うんですかね……」

「?何の話?」

「気にするな。」


そうして飯を食ってると声を掛けられた。

「あの~……あたし達、帰ってもいい?」

「駄目だ。」

「なんでよ。」

「お前達には役目があるからだ。」

「役目?」

この後にやってもらわなきゃならん事があるからな。


「よく分からないけど、じゃあご飯頂戴。」

魚を一人に対して一匹ずつ渡す。

「こんなんじゃ足りないわよ!」

「もっと!」

襲った人間に対して図々しいな。


騒がしいのを無視して食事が終わらせた後、セイレーン達に質問した。

「その漁師達とやらは夜も現れるのか?」

「そうね、むしろ夜釣りの方がいろんな魚とれるしね。」

「なら、さっさと行くか。」

「え?船がないんじゃ……」


俺は近くのデカイ木を斬り倒した。

さらに、縦半分に斬ったり、窪みを作って形を整える。

「よし、できた。」

「ゆ、勇者殿?もしかしてそれ……」

「船代わりだ。」

「浮くわけないじゃない!」

「安心しろ、考えがある。」


セイレーン達の方を見て言った。

「よし、引け。」

「……今なんて?」

怪訝な顔をして聞き返してくる。


「だから引けと言った。」

「無理よ!」

「他に方法がないしな。」

セイレーン達がギャーギャーと騒ぎ出す。

「嫌なら焼き魚になるだけだがどうする?」

そういうと渋々……もの凄い嫌そうに指示に従った。


「よし、じゃあ行くか。」

海上には木で作った船。先端には縄をくくりつけて、もう一方をセイレーン達の

身体に巻き付けてる。

「縄が身体に食い込むんだけど……」

「逃げられても面倒だからな。あぁ、俺が引っ張ったら止まって俺の指示に

従えよ?」

「鬼であるな。」

「「同感。」」

何か文句あるか?


そうしてセイレーン達に船を引っ張らせた。

詐欺師には船の側面部の海面が凍るように魔法を使わせている。

浮いているというより、氷の上を滑らせている感じだ。


「う~……キツい~……」

さすがに時間が経ってくると詐欺師もへばってきた。

「おい、代わるか?」

親切心から声を掛けたが、


「リュリュさん、頑張ってください!」

「お願いである!!今度の晩御飯はリュリュの好きなの作るであるから!!」

「死んでも代わってたまるかぁ!!」

……なんだよ。


三人が俺の魔法にトラウマを持ってることに少し不満を持ちつつ進むと

船が見えてきた。

「なぁ……あれって漁師か?」

「……どうでしょう?」

「違うんじゃない?」


遠めに見えたのは中々の大きさをした船。

側面には大砲がいくつか備え付けられている。

とどめは旗だ。黒塗りのボロキレに描かれたドクロマーク。

「どう見ても海賊であるな。」


引っ張らせてるセイレーンをいったん止めて、話を聞いたら

「え?だって人間なんて区別付かないもん。一緒でしょ?」

……頭が痛い。

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