第77話 海に到着

あの後、サーシャと詐欺師にも行くだけ行ってみようと言われて

仕方なく海に出ることになった。

「が、船はどうするんだ?」

「あ……」


漁師に会うなら俺達も船がないと辿り着かんだろ。

だから無理だと言ったのに、頭になかったのか?さすが脳筋というか……


「……なんか失礼な事を考えてませんか?」

「気のせいだろ。」

詐欺師といい脳筋といい、こういう時の勘が無駄に冴えるな。


「で、実際問題どうするであるか?」

「そうだな……アイツらを使うか。」

「アイツら?」

ちょうど暇そうに寝てるのが大量にいるからな。使えるものは使おう。


サーカス団が使ってた馬車にセイレーン達を詰め込む。

「あ、あの~この馬車は……」

「借りるだけだ。コイツらの縄張りに置いておくから取りに来ればあるぞ。」

「いや、近くと言っても一日以上「何か問題が?」なんでもありません。」

平和的に借りる事ができたな。良かった。


詰め込み終わり、脳筋、詐欺師、サーシャとともに馬車で海に向かった。

「よかったのであるか?」

「自業自得だ、問題ない。」

「まぁいい薬にはなったかもね。」

「それはそうと、海まで結構遠いなら途中で目を覚ましませんか?

気が付いたら頭に齧り付かれてたとか洒落になりませんよ?」


それを聞いた残り二人も少し心配そうになる。

「わ、我が輩は美味しくないであるよ?」

「私も!私もだからね!?」

俺に言うな。

三人が騒ぐのでスリープミストの魔法をかけておいた。

これでしばらくは目を覚まさないだろ。


翌日の夕方近くに海に着いた。

「やっと着きましたね。ずっと座ってたから身体が固まっちゃいましたよ。」

「我が輩、海に来たのは初めてである。」

「私もだわ。」

海か……そんなところ行った事なかったな。

まぁどうでもいいかと思って、さっさとセイレーン達を起こしにかかったが、


「イタい!イタい!」「ヒレが!!」

起きたヤツからギャーギャー騒ぐ。何なんだ一体?

「水かけて水!」

よく分からんが詐欺師に魔法を使わせて水をかけた。


「千切れるとこだった……」「セイレーンを乾燥させるなんて馬鹿じゃないの!?」

何で食おうとしてきたヤツに怒られなきゃいけないんだよ。


「あ~、寝かせたまま放っといたから下半身が乾燥して痛かったんだね。」

「そうよ!常識をわきまえなさいよ!」

ムカつく。


「アンタ、すこしは謝罪の言葉とかないの?」

「生かしてやってるだけでもありがたいと思え。」

「はぁ?信じられない!」

ピクシーといい、サーカス団といい、この国のヤツらにはストレスを

溜めさせられる……!!


「「「あ~やまれ!あ~やまれ!あ~やまれ!」」」

「なぁ、焼き魚になりたいか?」

「「「……」」」

やっと黙ったか。


「勇者殿、そんなに怒らないでください。」

なぜか脳筋が手を握ってきた。そんなに俺が魔法を使うのがトラウマになったか?

「落ち着くである、ツクァ。」

サーシャが反対側の手を握る。

「はいはい、どうどう。」

詐欺師が頭をペシペシと叩いてきた。



「ちょ、なんで私だけ!?」

「お前のは違うだろ。」

今、詐欺師の身体には糸が巻きつけられ木の棒から吊るされてる。

簡易型の釣竿だ。

この世界は海辺近くにジャンプして獲物を食おうとする魚がいるらしい。


「なあ!ひょぉほ!わびゃ!」

飛べないのに器用に避ける。

「ふっ!数々の死線をくぐり抜けた私にかかれば、こんなもの朝」


食われた。油断大敵だな。

まぁ俺も鳥に食われるとは思ってなかった。

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