第56話 問題を片付けて

俺はカエルの商人の後に付いて村長の家に向かった。

「グェズさん!ちょっと宜しいですか!」

声を少し荒げて、ドアをノックするカエル。


「何だ?」

出てきたのは、あのチビじゃなかった。

「あれ、グェズさんは?」

「中にいるよ。人と会う状態じゃないけどな。」

どういう事だ?


「客だってよ!聞こえてるか!?」

家の中にある部屋のドアをノックして大声を出す犬。

「参ったな、返事すらしやしない。」

「ずっと引き篭もってるのか?」

「あぁ。アンタに言われた案を採用しようとして皆で話しを進めたら

へそを曲げちまってね。息子ともども出て来ねぇのさ。」


試しにノックする。

返事はない、ドアは薄い。

よし。


バキャア!

「何だぁ!?」


「開いたぞ。」

「それは開いたと言わないのでは……ま、まぁいいとして。

グェズさん、話は聞きましたよ!犯罪の片棒を担ぐところだった

じゃないですか!」

「ふん!」

「まったく、アナタという人は!」


興奮して話すカエルと拗ねた犬。

まるで御伽噺の世界だ。


「チビ、もう諦めろ。この村でお前に実権はもうない。」

「貴様!どの面下げて!」

「お前は家族を守りたいと言ったな?このままだと村人からも疎まれ

復讐の的にされるぞ。あいつは役に立たんしな。」

部屋の隅でうずくまるデカブツに目をやる。

「早めに決断する事だ。」

「ぐううぅぅぅぅぅ!!」


それだけ言って家を出た。

この村がどうなっていくかは、これ以上知らん。

カエルの商人も今頃、文句を言いまくっているだろう。


「勇者殿~!」

「あ、ヅビャ。」

「おい、詐欺師。その間違った名前の呼び方は何とかならんか。」

「詐欺師だの呼ぶヤツに対して、名前で呼ぼうとしてるだけ

ありがたいと思いなさい。」

生意気な反論だ。


「これからどうしましょうか?」

脳筋が聞いてきた。

「そうだな、近くに村か町がないかどうか聞いて回るか。」

「そだね。」


三人で村を回り、次の行き先を決めるための情報を聞いた。

街道沿いに歩いていけば、10日ほどで次の町に着くらしい。

「今度はそこを目指すでいいか。」

「そうしましょう。」

「んじゃ、昼前くらいに出発だね。」


次に向かう先を決めた時、

「おや、もう行ってしまわれるのですか?食事でもどうかと思ったのですが。」

カエルの商人が話しかけてきた。


「すぐではないがな。チビはもういいのか?」

「グェズさんに文句を言っても、もう終わった事ですしね。

いつまでも喋るだけじゃ儲かりませんよ。それより、どうです?

商品ならいっぱいありますよ?」

相変わらずたくましい。


「いや、今はいい。」

必要そうな物はこの前、俺が買って品切れだしな。

「そうですか……残念ですが、また会った時にでも。」

「そうさせてもらう。」

会話が終わった後、商人は去っていった。


残る問題は一つだけ。

俺達は宿のエーレを訪ねた。

「これからどうする?」

「私は……この村に残ってみようと思います。」

「いいの?」


決意を固めた顔で頷く。

「私の村は滅びましたし、行く当てもありません。同じコボルトが住む

この村なら、ちゃんと雇ってくれる人もいると思いますし。」

「そうですね。エーレさんが決めた事ならいいんじゃないでしょうか?」


三人とも部屋に戻り、荷物をまとめる。

そして、村の店で商品を買って準備を済ませる。



昼前、村の入り口

「では、エーレさん。お元気で!」

「はい、皆さんも。」

「またね~!」

エーレの見送りでミルズ村を離れた。

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