第48話 一段落
なんか空気が悪くなった気がするが、俺のせいではないよな?
「あの、グェズ殿。エーレさんの「うるさい!うるさい!
私が悪いというのか!」」
確実にそうだろ。
「えぇい!こうなれば…」
何かやるつもりか?
「金は好きなだけ払う!さっさと出て行け!」
…金かよ。
「そんなものいりません!この方はヴァファール王国の庇護を受けた、
正式な勇者殿です!お金なんてすぐ用意できます!」
問題はそこか?
「ぐぅ…」
「エーレさんを奴隷として扱うと約束するか、もしくは手放して頂けますね?
でなければ、正式に国へ訴える事になります。」
血が出そうなくらい拳を握りしめてチビが言う。
「わ、分かった…」
凄い納得してなさそうだな。
終わったか。
「やっとケリが着いたね~。」
「そうですね。一件落着です。」
お前ら、同情して見逃しそうになってたじゃねぇか。
「とりあえず、宿を探しましょう。」
「今日は疲れたわ~。」
明日か、明後日ぐらいに襲撃してきたヤツらが来るな。
その時は…
「い、いらっしゃいませ…」
なんだ?ずいぶん暗いな。
「三人で部屋を取りたいんですけど。」
「え、ちょっと待って!コレも一緒!?」
コレとはなんだ、コレとは。
「えぇ、何か問題ありましたか?」
「大アリよ!コイツ男じゃない!一緒の部屋なんて嫌よ!」
「私は勇者殿を守るのが仕事ですし。」
よく考えたらヴァディマールの町で部屋が一緒になった時も、
文句言わなかったな。
「エジオでは別々だったじゃない!」
「あれは、第1騎士団の方々が見回り含めてやっていたので。」
「俺は別で構わんぞ。」
脳筋が驚いたような顔をしてこっちを見る。
「勇者殿!?ですが!」
「詐欺師の言う事が普通だろ。」
「詐欺師言うな。」
「男と女なんだから、部屋ぐらい別々にしてもいいだろ。」
脳筋の顔が暗くなる。そんなに変な事を言ったか?
「…分かりました。」
「すまんが、部屋を2つに変えてくれ。」
「かしこまりました…」
店主も暗いまま。
「なぁ、なんでそんなに暗いんだ?」
「え?あ、いえ、別に…」
「何かあるのか?」
「その、この村に他の方が来る事自体が珍しくて…それにさっき村長の家から
大きい音が聞こえてきて…」
もしかして、外で殴りあいしたときの事か?
「あれなら気にしなくてもいい。少し話しただけだ。」
「ひっ!」
何で怖がる。
「村長のお知り合いでしたか、申し訳ありません!無礼な態度、
お許しください!」
アイツのせいか。
「あ~…知り合いという分類に入るかも微妙だが、仲がいい訳じゃない。
心配するな。」
「ほ、本当ですか?」
あの後、怯える宿屋の店主をなだめて部屋を借りた。
「何であんなに怖がってたのかしら?こんなに可愛い妖精までいるのに。」
「大方、村をゲェズの力で支配してたってところだろ。あと自分で
可愛いとか言うな」
「いいじゃない、可愛いんだから。」
俺と詐欺師が階段を上っていくが、脳筋はその後をゆっくりと
付いて来るだけで、会話にも参加してこなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます