第45話 思わぬ事態

「それにしても綺麗な泉ですね。」

「そうだな。」

「そういえば、エジオで話を聞いた事があったわね。」


話?ああ、

「願いが叶う泉だったか。」

「そう、それ。」

眉唾ものだがな。


「もしも、ここがそうだったら凄いですね~。」

「んじゃあ皆で願い事してみようか?」

願い事か…俺はミルズ村に行ってアイツらを…

二人も何かを願っているようだった。そのとき急に泉が光った!


「何だ!?」

「え、嘘!本当に願いを叶える泉!?」


だが、しばらく待っても何も起きなかった。

「え?今のは?」

「期待はずれ…だったのかしら」

よく分からんが願いは叶わなかったらしい。


「何よ、もう~~~~!」

「お前はどんな事を願ったんだ?」

「ん?まぁいろいろとよ。女に秘密を聞かないの。」

なんだそりゃ?

「脳筋は?」

「私は、誰かを守れるくらい強くなれますようにです。勇者殿は?」

「俺はミルズ村にさっさと向かいた」


そこまで言った時、体が光に包まれた。

ヒュン!


気が付くと、そこは…

「村の入り口みたいですね…」

「あぁ…」

「じゃあ、さっきの泉は本物の…」

どうするか?襲撃者より早く村に着いたぞ。

選択肢は入るしかないんだろうな。


門も門番もなしか…無用心だな。

村に入ると人気がなかった。

夜だしな、仕方がない。

とりあえず一番デカイ家を目指すか。


村を歩くと一番奥にその家が見えた。他の家より4倍はあろうかと

思われるようなデカさだった。

多分、村人から税やらを搾り取っているんだろう事は簡単に想像できた。


「すいませ~ん!」

脳筋がドアをノックして声を掛ける。が、

「返事がありませんね。もう一度、す・い・ま・せ~ん!」

声がデケェな。

「うるさい!今が夜中だと分からんのか!!」

正論を言いつつエーレ達より、さらに小さい犬が出てきた。


「何だお前らは!」

「旅の者なんですけど、少し話を「そんなものはコッチにはない!!」」バタンッ!

息つく間もなくドアが閉められた。


「な、な、な、何ですか、あの態度!?」

「まぁ夜中にお前のデカイ声を聞かされればな。」

「しょうがないかもね。」

「二人も!私が悪いみたいじゃないですか!」

しょうがないので、俺が代わりにノックしてみる。


「おい、出て来い。」

返事がない。

「よし、壊すか。」

「勇者殿!?」

「ちょ、待ちなさいよ!」


ドアが開く。さっきとは違うヤツが出てくる。

「うるさいんだど!オデの眠いのを邪魔するのは誰だど!?」


出てきたのは、4m近くはあるコボルト?だった。

「うわぁ…だどとか言ってるし。」

「何だ、この可愛げの無さ…コボルトかコレ?」

「…オークの間違いでしょうか?」


俺達が見てきたコボルトとは違い、デカイ。

それに顔も潰れている。

パグとかブルドッグではなく、普通の犬の顔を平らにしてグチャグチャに

したような感じだ。


「い、いきなり文句言われる筋合いないんだど!!!!!」

言葉は理解できるらしい。


「あ~…そうですね、申し訳ありません。エーレさんの事で「エーレだと!!」」

さっきの小さい犬が飛び出してくる。

「え、えぇ。」


コイツが村長か?

見るからに意地悪そうな顔をしているからな。

説得できそうもないが…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る