第36話 竜舎でのいざこざ

先に調べるべきは、

「今、竜が入ってる部屋を優先して調べるべきだろうな。」

「何でよ。」

「竜が入ってないなら当日は演習に行ってる連中という事だろ。

その日に呪われたんなら、そいつらの中の誰かっていう確立も低いだろ。」

「な~るほど。」


部屋には鍵が掛かってるだろうし、調べられるやつは一人だけか。

「とりあえず詐欺師、調べてきてくれ。」

「や・だ!殺されるかもしれないじゃん!」

…まったく。

「…リュリュ、頼む。お前だけが頼りだ。」

「うっ!きゅ、急にそうやって真面目になるの卑怯じゃない!?

…しょうがないわね、何かあったら助けなさいよ!」


まぁ俺も鬼じゃないし騒ぎになるのも面倒だ。

手伝うしかない。


「水よ。深き生命の源よ。幾たびも立ち上がる者たちに

束の間の安らぎを…スリープミスト!」


「な…なんだ?」「急に眠く…」「くそ、侵入者か…!?」

「グルルルァァァ…」「ガアアァァァァ…」


呪文を言うのに慣れてきた自分がいる気がする。怖いな。


人も竜も眠っていったのを扉の隙間から確認する。

「スゴ…普通こんな広範囲に魔法って効かないもんだけど。」

「これで調べやすくなったろ。」

「そうね、ちゃちゃっと調べてやるわよ。」


そう言って他の部屋を調べに飛んでいった。



「ちなみに第1騎士団以外がここに駐留している時は、

この竜舎はどうしているんだ?」

脳筋が呆けたまま動かない。

「おい、脳筋。」

「ハッ、ハイッ!あのですね、清掃してます、それはもうキレイに!」

「以前に使っていたのは?」

「第5騎士団です。私も少し前はここにいたんです。」

また、アイツのところか。


「それが何か?」

「その時から何か仕掛けがされてたりしてないかと思ってな。」

「わ、私達を疑ってるんですか!?」

脳筋が顔を真っ赤にして怒鳴る、五月蝿い。


「ちょっとでも手掛かりがないか聞いただけだ、喚くな。」

「手掛かりって言っても特には…いつもよりは人通りや魔石の搬入が

多かったくらいで「ガアアア!」」

「ウヒャハァ!」


詐欺師が変な声を出しながら部屋から飛び出してきた。

その後を追うように竜が馬鹿力で扉を壊して出てくる。

「効いてないやつがいたか、仕方ない!!」


戦闘態勢を取ってステータス確認をしたら…


ドラゴン Lv45

HP:1200  MP:560  ATK:185  DEF:170

INT:98  MGR:145  DEX:88  LUC:91

スキル

【火炎】【飛翔】【状態異常耐性】


状態異常

【マリオネット】


状態異常!?しかも名前からして、


【マリオネット】

肉体が操られている状態です。

操っている人物が止めるか、死ぬまで効果は持続します。


耐性が付いてるくせに操られるなよと思っていたら、

騒ぎを聞いて人が集まってきた。


「勇者殿!?これは「来るな!」」

竜が尻尾で薙ぎ払おうとしてきた!

竜舎の廊下には自分が眠らせた騎士達がいる。


「フッ!」


誰かに当たらないよう前に出て受け止めるが質量が違いすぎた。


ドォォォン!!!


吹き飛ばされ尋常じゃない勢いで壁に叩き付けられる。

少しだけ痛みがあったので念のため確認する。


HPが9992だった。

元が9999だから7ダメージ食らったのか。

この世界に来てから初めてだな。


「勇者殿!!総員、勇者殿をお守りしろ!」

「で、ですが…相手は…」

「今はそんな事を考えている余裕はない!」

ワミが叫んでいる。


「勇者殿、大丈夫ですか!」

「ちょっとアンタ、平気なの?」

脳筋と詐欺師が寄ってきた。

「問題ない。全員、竜から離れろ!」

そう叫んで、呪文を唱える。


「水よ。深き生命の源よ。苦しみもがき、救いを求める者に

全ての罰から解き放つ力を…フルリカバリー!」


効果があったようで竜はその場に倒れ込んだ。

幸い、潰されたヤツもいないみたいだ。


「クックック…」

急に団員の一人が笑い出した。

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