第35話 犯人は誰だ

言われた場所には部屋が2つあり、騎士が立っていなかった。

「担当の者は今、部屋の中で看病しておりましてな。

では、どうぞ。」



「あなたが勇者様ですか!?ロザリーを、ロザリーを助けてください!」

掴みかからん勢いで男が近寄ってきた。

ロザリー?

「落ち着け!今は任せる勇者殿に任せるんだ!」


「ロザリーって言うのか?人間みたいだな。」

「えぇ、名付けるのにもいろいろ規則がありましてな。」

見ると、確かに息苦しそうに目も瞑ったまま動かなくなっている。


「門の警備をしていたヤツらは状況を知らなかったみたいだが、なんでだ?」

「外にいるものは当日、演習に行っておりましてな。感染病かも知れぬ状態で

中に入れる訳にもいかず、憶測を言う事もできないので説明はせずに

野営地での待機命令と門の警備のみ指示しております。」


とりあえずロザリーのステータスを見てみるか…そう思って表示すると、


状態異常

【闇への誘い】と記載されていた。


【闇への誘い】?

名前からして不吉な感じだ。そして調べると、

「当たりか…」


【闇への誘い】

肉体・魂とも闇に蝕まれていき、蝕まれ終わった場合、魔物へ転生します。

呪いを発動した人物が止めるか、死ぬまで効果は持続します。


俺の呟きを聞いて、

「何か分かりましたかな?」

「本当ですか、勇者様!?」

二人が近寄ってくる。

「これは呪いの類だそうだ。早く手を打たないと魔物になるぞ。」

「何ですと!!?」


全員が驚いていた。

「ロザリーが呪いに掛かっているんですか!?」

「落ち着け。あまり時間はないと思うが、呪いを掛けたヤツさえ捕まえれば

何とかなる可能性がある。」


「呪いかぁ…ちょっと見せて。」

詐欺師が竜の様子を確認して、

「我、尊き神に願い奉る。目の前にいる者の魂を浄化したまえ。」

呪文を唱えた。


しかし、何も起こらない。

「ダメかぁ…」

「今のは?」

「魔法で呪いを解こうとしたんだけどね、悔しいけど術者の方が

一枚上手ね。私じゃ解けないや。」


妖精と人間じゃ呪文が違うのか?

「あ、でも分かった事があるよ。呪いは最近かけられたみたい。

苦しんでるのが分かった日?多分、その日に呪われたと思う。

それに術の強さから考えて、まだ近くに犯人がいるはずよ。」


ということは、

「この城塞に侵入者がいるということだな。」

ワミはそう言うと、部屋を出て叫んだ。


「第1騎士団総員に告ぐ!エジオ城塞に侵入者がいると思われる!

竜騎士にとって最愛の友を苦しめているクソ野郎だ!!

草の根を分けても探し出し、誰にケンカ売ったか思い知らせてやれ!!!!」


部屋がビリビリと震える。

「…鼓膜が破れるかと思いました。」

確かに耳が痛い。

床に詐欺師が転がってピクピク動いてる。こういう場面が多い気がする。


念のため、隣の部屋の竜も確認してみると同様の状態異常にかかっていた。

さてと、



「え?竜舎内の他の部屋も探す!?」

「声がでかい、抑えろ。」

脳筋の声が聞かれてないか部屋の外を見てみるが、騎士は他の場所を

探しているらしく、人影はほぼ無かった。


「で、でも何故!?」

最初から説明をしていく。

「まずは外から来たヤツの犯行だった場合、さすがに先に調べられてるだろ?」

「確かに。」

「次に騎士の宿舎や会議室、その他で使う可能性がある箇所に何かあれば、

それも今の時点でバレてる確立が高いはず。」

「そうですね。」

「となると竜舎、ここは特に機密が高いらしいからな。

何か隠すとしたら絶好の場所だろ。」


脳筋が焦る。

「で、でも確実に何かある訳じゃないんですよね?」

「そうだな、あくまで推測だ。」

「じゃあ調べても何も出ない場合も…そうなったら?」

脳筋の顔が青ざめてる。


「王様にすら見せないところを家捜ししようとしてるんだ。

お前は騎士団追放になるかもな。でもって袋叩きにされて

放り出されることも考えられる。」

詐欺師の顔も青ざめた。


「ワミ団長に相談しませんか!?」

必死だ。

「多分、無理だろ。この2部屋を見せてもらうだけで渋ってたのに、

全部屋となるといい顔はしないはずだ。竜を助けたけりゃ諦めろ。」


脳筋は死に掛けたような顔をしているが、しょうがない。

それじゃ調べ始めるか。

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