第7話 再確認
大臣に指示された店へ少し寄り道をしながらたどり着いた。
「いらっしゃい。」
「ヨーグとかいうやつの紹介でここに来たんだが。」
「紹介は受けてるけど…とかいうやつって。」
そういえば仮にも大臣だったか。だが、
「まぁアイツに好感持ってるやつはいないがね、そこまでハッキリいうとは
思わなかった。面白いなアンタ。」
どうでもいい大臣のどうでもいい評価を聞きつつ部屋の番号を伝えられた。
そして部屋に向かいドアを開く。
「さて、状況確認をしないと。」
そう思いこの世界での出来事を整理することにした。
まず、そうこの世界。
おとぎ話や物語でよくある異世界というもの。
何故だか知らないが俺は直感で知ってしまっている。
それなのに言葉は通じている。意味を理解できると言うことだろうか?
普段使われている単語は認識できるが名前など聞いた事がないものだと
途端に言えなくなるらしい。
「しまった…文字も確認するべきだった。まぁいいや、後回しだ。」
そして俺の性格。
言いたくはないが、昔からのクセで俺は人になるべく不用意な発言は
しないようにしている。
しかし王宮で周りの人間にケンカを売った挙句、王にタメ口。
最後に異常な冷静さ。
慌てたのはコウモリに襲われたときくらいでそれ以外は普段以上に周りを
分析し、判断して実行に移している。
「俺は本当に俺か?」
哲学的な物言いだが人が変わってしまったとしか思えないような感じだ。
いや、実際変わったのかも?
なんせ日に2回も死んだんだ。何か変化があってもおかしくない。
これ以上考えても思い浮かばなそうだし、そういうものだと受け入れるべきかな。
そうやって物事を受け入れやすくなってるのも変わった証拠だが、
それは置いといて、次に確認するべきは。
「レベルかな?やっぱり。」
そう、洞窟で最後にコウモリを倒した時に聞こえた
「レベルが上がりました。」
の声。
ステータス画面を見てみると名前の下にLv、SPの項目が加わっていた。
【Lv】
現在の強さを表します。数値が高いほど各種パラメータにボーナスが付きます。
【SP】
現在持っているスキルポイントの量を表します。Lvごとに増加し、
消費することで通常スキルを覚えることができます。
との事。
なぜこの項目が今まで見れなかったのか?しかも聞いた事が…
いや、確か1回生き返る前に聞いたような?
”「意思表示があったため、転生の準備を致します。
あなたが死亡するまでの年数をSP《スキルポイント》として
ユニークスキルを覚えられますがどうなさいますか?」”
もしかして、この世界で俺が"そういうものがある"と認識して
初めて分かるようになってるのか?
でも他の項目の意味も知らなかったわけだしな。
「はぁ…」
結局のところ、ここが多分異世界で、俺は多分この境遇に馴染むように
されていて、偶然か何かで俺が認識した事が分かるようになってると。
「多分とか偶然が多過ぎるだろ…そうだ。」
ほとんど何も分かっていない状況だと再認識した後、ふと
称号というのを思い出した。
前は何も無かったが今はどうなってるだろうと確認したら…あった。
【ヤサグレ勇者】☆
ユニークスキル【辛口】【冷静沈着】を付与します。取り外し不可能です。
【辛口】
口が悪くなります。
【冷静沈着】
物事の判断を冷静に行えるようになります。
…いくつかはコレのせいか。
【冷静沈着】はまだ許そう。【辛口】って何だ!?
この世界はちょくちょく俺をコケにしてくる仕様らしい。腹が立つ!
しかもこの称号…☆マークは設定されているということか?
取り外しできねぇのかよ…
と考えこんでいたら、ドアがノックされた。
「大臣のヨーグでございます。少しよろしいですかな?」
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