第1-6話 (スキ)スキ

 私たちはスキあっている。


 ただし一方的である。それでスキあっていると言えるのだろうか?夢の中だけならばスキあうことも出来よう。だがそれは御腹を膨らますことも心を満たすこともできない渇望のみが深く積もっていくスキ。


 そのスキは行使されることはなくスキは闇夜に消えていく。心の奥底の宝箱に居られれるだけのスキ。宝箱の鍵はあの人に渡してしまっている。自分で開けるなんて怖くてできないましてやあの人以外に開けてもらうなんてありえない。


 一方的に積るスキは相手に気付いてもらうまで永遠に積りつづける。あのひとに宝箱を開けてもらうまではこの気持ちは明かされることなく薄暗い心の闇の中へと消えていく。


 この気持ちが永遠に解き明かされることなく闇の中に消えていくことになったら…そんな灰色を考えるのは怖い。だがこの気持ちが解き放たれた時にこの心臓が無事でいられるかは想像がつかない。


 恐怖と恐怖と恐怖が交錯し煮詰まっていく。それでもこのスキは諦めることもやめることもできない。それはスキというものなのだから。


 このスキを解き放ってくれるのはあなただけ。だからこそ私たちはスキあっていく。

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