第1-2話 スキ/スキ
私たちはスキあっている。
スキは近くて遠い。常に傍にいて私たちはスキを共有する。 常に目に見えないところにいて私たちはスキを渇望する。 気づくようで気づかない、気付いているようで気付いていない、それが私たちの「スキ」
幼いころからいつの間にか私たちは常に傍にいた。それは偶然でもなく必然でもなく自然であったのだと思う。自覚するだけ無駄だったというくらいには本当にいつの間にか「スキ」の中に引き込まれていたんだと思う。
常に自分自身と一体化しているような感覚。それが「スキ」の形であり自分の中にあると確信できるものであった。それが自分自身だからこそ不変で浮動だからこそそこに惹かれ憧れ溺れていく。すなわちスキと一体化した自分は幸せな死を体感しているともいえる。
自分自身であるからこそ、その足もとは見ることを忘れてしまう。近くて遠い渇望は自分の中にあるスキへの欲望を強くする。いわば指針であるのかもしれない。見えないからこそ探し求める不安になるさらに強く求めるこの循環が今日も体で《どこか》でおこなわれている。
スキへの欲望は無限であり永遠である。だからこそスキを思い求め穢して穢されてそれでもスキを思い求め続ける。
それが私たちのスキ
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