Fatal Round (3)
人の生首というものを、こんなにまじまじと見るなんて、生まれて初めての経験だった。
想像していたよりも
首はちょうど喉仏の下をラインにして綺麗に切られており、血が出ていないのが不自然なくらい……、ん?
「なんだこりゃ!? これ、どうなってんだ?」
オニマサさんが確認のために手に取ると、そう声を上げる。
そう、メイジさんの頭は、何故か首の断面が真っ黒に塗りつぶされていて、オニマサさんが黒い面を軽く叩くと、コンコンと硬い音が鳴った。そこだけ見ていると、まるでマネキンの頭にも思えてくる。
ましてや、オレはメイジさんを直接見たことがないので、誰かが悪趣味で用意した偽物に見えてきた。
「これって、本物のヒトの首なんですかね?」
「俺は残念ながら、検死とかに立ち会ったことはないが、肌の質感や口内の歯並び、瞳孔の開き具合を見るに、少なくとも作り物じゃないと思うぞ。」
オレの問いに対し、オニマサさんは一つ一つ確認して答えてくれた。
「ウメコさん、貴女が最後に見られた男性は、この人に間違いないですか?」
「た、多分同じ人よぉ……。」
ウメコさんはずっと目を背けていたが、ちらりとこちらを見て確認する。
「あまり晒し者にするのも
そう言って、メイジさんの首は、再びオニマサさんの手で箱に戻されたのだった。
「…………、正直、こんなん見るまでは、『ドッキリでした~』とかならへんかなって思ってたんですけどねぇ……。」
全員元の席に戻り、それぞれ押し黙る中、チュウキチさんがポツリポツリ話し出す。
「メイジさんがあんなんなって、レイナ姉さんはどっか消えてもうて、ボクらも何やかや
「おい、ユキチ君。 滅多な事は口にするもんじゃない。」
「せやかてオニマサさん、さっきの部屋と同じパターンですやん! しかもメメの奴は、9問『クイズ』する
それって、ボクら9人を、一人ひとり殺すって事なんじゃ、」
「チュウキチ!! 黙らんかいッ!!!」
オニマサさんは、チュウキチさんの発言を掻き消す様吠えた。
「俺らが焦っても仕方ないだろ? 見ろよ、子供たちがビビっちまってるじゃねえか。」
「いえ、それはあなたのどなりごえにきょうがくしただけですよ。」
ユアラちゃんがしれっと突っ込む。
「とにかく、今は冷静に行動しよう。
この大広間の扉は二つしかないんだ。 なら、そこから出たって可能性もあるだろ?」
「もう一つ可能性はあるわ。」
ずっと黙っていたアリスが、ここで口を開く。
「最初の部屋みたいに、隠しルートがあるかも知れないじゃない。」
「そんなら、二手に分かれるのはどうです? ボクら男性チームで部屋の外を、女性チームで部屋の中を調べてみましょ。」
チュウキチさんがそう提案する。
「よし、それで行こう。 じゃあユキチ君、ユウキ少年、あとキングの坊主もついてきな。」
こうして、オレ達4人は大広間の外に出ることにした。
部屋の去り際、キング君はパソコンにこう打ち込んで、オレに見せてきた。
『カミヅキ、お前はあの老婆が「実行犯」だと思わないか?』
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