Fatal Round (2)
大広間は、不自然なほどの静寂に包まれていた。
ぱっとあたりを見渡した限り、誰もいるようには見えない。つまり、レイナさんもウメコさんも、もちろんメイジさんも、どこかに行ってしまったようだ。
「なんだぁ? 誰もいねえじゃねえか。」
「あれ、ほんまや!? お~い、レイナ姉さ~ん、ウメ婆さ~ん。 居てへんかったら居てへ~んって
オニマサさんとチュウキチさんが、2人を探し始める。
オレとアリスもそれぞれ大広間を見て回ろうと動くと、中心にある机の下に、丸くなって隠れている小さな人影を見つけた。
「あ、ウメコさんッ! 良かった、無事だったんですね。」
「ヒィッ!?」
オレがそう声をかけると、ウメコさんは驚いて、何故か剣を持った状態でブルブルと震えだす。
「どうしました? 何かトラブルでもあったんですか?」
「あ、あ、ユウキちゃんね……。 そう、もう終わったのねぇ……。」
ウメコさんは顔を上げ、オレの姿をみとめてそう答えた。
「すんません、ウメ婆さん。 ボクらも何があったか知りたいんで、分かるとこだけでも話してもらえます?」
オレ達はウメコさんを机の下から引っ張り出し、それぞれ席について話を聞くことにした。いったい先ほどの「クイズ」で、何が行われていたのかを。
「御免なさいねぇ。 正直、怖くて
「それでけっこうです。 すこしでもじょうほうをしいれたいだけですので。」
珍しく、ユアラちゃんが先を促す。
「えっとねぇ、皆さんが出られた後、反対の扉から『あの人』が現れたのよ……。」
ウメコさんはそう切り出して、ポツポツと語り始めた。
――――ウメコさんの話を要約すると、こんな感じだった。
反対の扉からやって来たのは、あの「メイジ」さんだった。彼は
レイナさんは特に相手をせず、メメがクイズを出すのを待っていると、しばらくしてディスプレイから出題された。
それはこちらと同じく、『カネはイノチよりおもい』かどうかの『〇✕クイズ』だった。
ただ、こちらと違った点は、剣を一人一本づつディスプレイの下から抜き出し、「〇」だと思えば自分の首を、「✕」だと思えば自分のカードを切るよう指示されたそうだ。
すると、メイジさんは
それを見て恐ろしくなったウメコさんは、剣を抱いたままこの部屋で唯一隠れられそうな机の下に潜り込んだ。
しばらくレイナさんが色々と叫んでいたそうだが、ずっと縮こまって聞かないようにしていたらしく、気が付いた時には何も物音一つ立たなくなっていたのだと…………。
「――――だからあたくし、レイナちゃんがどうなったのかすら分からないの。」
そうウメコさんは話を結んだ。
「あれ、でもボクがぱっと見た限り、メイジさんどころか
チュウキチさんがそう口にすると、
「おそらく、メメがかたづけたのでしょう。 これをみてください。」
いつの間にか席を立っていたユアラちゃんが、最初に誰も座らなかった椅子を引いて、指差している。
オレ達は近づいて見ると、椅子の上に小包くらいの箱が置かれている。箱には張り紙が張られ、
“
と書かれてあった。
「確認のために開けるぞ。 恐らくだが、見たくなかったら見ない方がいい。」
オニマサさんは緊張した面持ちでそう言い、箱を開いた。
そして、オレは初めてメイジさんと顔を合わせた。
首だけの状態になった彼と。
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