Second Round -U- (3)
無情にも迫りくる剣山。それは確かにキング君の云うとおり、先程より速度を上げて近づいてくる。もしこのまま時間切れより先に刃がオレたちに到達してしまったら? その時は本当に命を懸けてしまったことになるだろう。やはり、「パス」をしないといけないのだろうか。
「しかたない、ゆあらはさきにみきりをつけときますね」
ユアラちゃんはそう言って左手をあげ、「パス」と宣言した。
その途端、ドアがガチャリと、まるでご自由に出てくださいとばかりに開いた。
「それではおふたりともむだにあがいてください。もしかしたら、ゆあらがこのへやをでたことで、げんじょうをだはできるかもしれませんよ?」
ユアラちゃんは最後にそう言い残して、ドアを閉めた。
『おいカミヅキ、やはり速度は変わらない。こうなった以上、我に案がある。』
ユアラちゃんが去り、キング君を見やると、画面にそう書かれていた。
『貴様に「パス」を宣言してもらい、一緒にこの部屋を出るぞ。』
「それってオレは助かるけど、キング君はどうするんだ? おそらくミス扱いだぞ?」と言ったが、
『ミスも2回までなら問題ないはず。命さえ残ればそれでよい。』
と、キング君は続けた。
ディスプレイの表示は残り20秒。決断しなければならないか。そう思ってドアを振り返ると、よく見たら絵が描かれている。
それは、右に傾いた天秤の絵だ。
途端、今までの部屋でのやり取りが駆け巡る。
「すまん、キング君。10秒だけ時間をくれ」
そう言ってオレは、無理やり『潜った』。
――左右二つに分かれた部屋。右に傾いた天秤。「イノチをハカリにかけて」とい
うメメの言葉。床に書かれた大きな「〇」。どこにも見当たらなかった「✕」。
――――伏せた途端スピードが上がった天井。つまり、メメはディスプレイからこ
ちらを見て、オレ達の何かを判断してるのか?
――――――そういえば、チームを分けたが、チーム全員で答えろとは一言も言わ
なかった。
――――――――「どちらかをオして」と言ったが、「押す」のではなく、違う意
味なのでは?
――――――――――オス、雄、牡、圧す、お酢、捺す、推す……。
――――――――――――……しまった! これは罠だ。
「マズイ、キング君! とにかくまずは立つんだ!!」
オレ達は間近に迫った剣に怯みながらも、素早く立った。
頼む、間に合っていてくれ……!
しかし、速度は緩みながらも、やはり剣は近づいてくる。このままではもう立っていられない。
「やはり、足りなかったか」
そう思った瞬間、ドアが
バンッ!!
と、勢いよく開き、声が聞こえた。
「助けに来たわよ、ユウキ」
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