Choice Round (4)


「ねえユウキ、あの女、強がってたけど案外ビビッて動かなかったんじゃない?」

「仲良くする気がなくても、わざわざ喧嘩売ろうとするなよなぁ……」



 大広間の奥の扉の先は、入ってきたほうと同じように、長い廊下になっていた。どのみち分かれ道が来るまでは同じなので、オニマサさん達とこちらのチームは一緒に行くことにした。


「あの二人の組み合わせって、実際どうなんだろうな?」

オニマサさんはポツリと呟き、

「まあ、ウメ婆さんはわかりませんが、レイナ姉さんなら大丈夫でしょ。実際、最初のクイズを解いてたのはあの人でしたし。ねえユアラ嬢?」

それをチュウキチさんが拾う形でユアラちゃんに振る。


「そうですね、あのひとはきがついたとうしょはとまどっていましたが、くいずがはじまるとれいせいになり、まんなかのけいこうとうのひもをひくと、まるになるしかけはすぐにひらめいてましたね」

ユアラちゃんは、ちょこちょこと小走りになりながら返事をする。


「ほら、やっぱりレイナ姉さんならいけますって。ですから、気持ち切り替えて、次のクイズとやらに集中しましょ。何より、こっちには勝利の女神がついてますし」

「気安く女神とか言われるのは不愉快よ」

「そんな殺生な!?」


 アリスはチュウキチさんに対して、つれなく話す。スカートの中を見られたこと、まだ根に持ってるのかもしれない。



 そんな和気藹々わきあいあいとした空気の中進んではいたが、これがわざとだというのは薄々感じている。

 なんせ、最初にクイズを「クリア」した時と違い、今度はということを、みんな自覚させられたのだ。

 次のクイズに対して、否応にも緊張してしまうものだ。



 そういえば、キングくんの「不都合な現実」って、いったいなんだったのだろうか。オレはふと気になったが、おそらく本人に尋ねても答えてくれないだろう。

 そこで、最初の部屋で一緒だった、オニマサさんにそれとなく聞いてみることにした。


「オニマサさん、知ってたらでいいんですが、キング君の様子で、最初に会った時と何か違うところとかありますか?」

「うぅ~~ん、正直なところ、俺も自分のことで手一杯だったからなぁ~。愛想が悪いのは最初からだったし、名前を頑なに明かさないのも、生意気な口の訊き方も変わらないかなぁ?」

オニマサさんはそう口を濁す。


「やっぱり、本人の口から教えてもらうのを、待ったほうがいいんじゃないか?」

そう言われたので、

「そうですね、ありがとうございます。すみません、変なこと聞いて」

とお礼を言って、少しオニマサさんから離れる。



 そうこう言ってるうちに、分かれ道に出くわした。左右を見てみると、わざわざご丁寧に、『「オニマサ」さマの部屋』、『「キング」さマの部屋』とドアの前に赤色のペンキで書かれている。


「じゃ、ここで一旦お別れだな。少年、坊主、チビちゃん、武運を祈ってるぜ」

「はい、オニマサさん達もお気をつけて」

そうお互いに別れを告げる。


「さくっとクリアして、あのメメの目ン玉ポーンッと飛ぶくらいびっくりさせたりましょ」

「ま、せいぜい死なないように頑張りなさい」

チュウキチさんとアリスからも、それぞれ激励が飛ぶ。



『気は済んだか? 行くぞ』

「こんじょうのわかれかもしれませんが、いちごいちえということばもあります。かんしょうてきになってるひまはないですよ?」

キング君とユアラちゃんは逆にそっけなく、どっちが年上かわからないくらいだ。


 そして、オレはドアの取っ手を回し、ゆっくりと手前に開いたのだった。






Choice Round Clear.


 ……and, to the Second Rounds.

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