Choice Round (2)


 『上月カミヅキ 優季ユウキには、将棋の才能があること』



 カードに記された、たった一行の文面を読み、オレは戦慄した。


 何故なら、このカードの内容を目にした瞬間、も思い出したからだった。



 すぐにこのカードを胸ポケットに入れ、誰かに見られていないか確認する。オニマサさんは顔を伏せながらも、ジッと画面の中のメメを見続けている。アリスの方はと見ると、ひどく真っ青な顔をしている。


「アリス、大丈夫か?」

「へ、平気よ。大丈夫、だいじょうぶ……」

そう言いながらも動揺は隠せず、肩が震えている。


 ほかの4人もそれぞれアリスと似たような反応で、唯一キング君だけはこちらを見ることなくずっとパソコンとにらめっこしている。



『そうそウ、わかっているカとはおもいますガ、そちらのかーどはみなさマにとってひじょうにジュウヨウになりまス。くれぐレもなくさないよウ、ごちゅういくださいネ』

メメはこちらの考えを、見透かしているかのように話しかけてくる。


 そう、当然ながら、誰だって自分にとって『不都合な現実』を、他人に知られたくはないだろう。ましてや、この中に『実行犯』がいるかもしれないなんて状況では、誰も信じることなどできやしない。

 それを、誰もが手にできる形にされたことで、不用意に人に近づくことさえできなくなった。このカードの存在は、自分にとっては爆弾にも等しい代物しろものになってしまったのだ。



『さてさテ、それではつぎの「クイズ」にうつりたいとおもいまス』

メメは本題に入りだす。


『さきほど、「ミス」をされてしまっタ「オニマサ」さマ、「キング」さマ。「メイジ」さマはゲンザイせきをはずされていますのデ、おふたカタに「チョイス」していただきたイとおもいまス。

 ずばリ、どなたとちーむをくみたいかヲ』


 ずっと沈黙を保ってきたキング君が、ここで急にキーボードを叩き画面を見せた。

『チームというのは、具体的に何名で、どういった意図だ?』


『はイ、おこたえいたしまス。

 おふたカタには、それぞれ2メイずつえらんでいただキ、このオオヒロマのトビラをあけタさきにある2つのヘヤで、「クイズ」にいどんでいただきまス』


「おい、この先への扉なんて、散々ぶっ叩いたけど開かなかったぞ?」

オニマサさんが口を挟むが、

『だいじょうぶでス、カギはあけておりますのデ』

と、メメは特に問題にせず話を続ける。


「ちょっと、2名づつ選ぶってことは、だれか二人はここに残らないといけないってこと? 冗談じゃないんだけど」

レイナさんが疑問を口にすると、


『そのとおリ。のこるおふたカタにハ、「メイジ」さマといっしょニ、このヘヤで「クイズ」にチョウセンしていただきまス。

 そうそウ、あんしんしてくださイ。さきのヘヤにすすまれるみなさマモ、このオオヒロマにもどってくるシクミになっておりますのデ』

そうメメが答えた。



『ではでハ、「クイズ」のないようハ、さきにすすまれてからのべますのデ、「オニマサ」さマ、「キング」さマ、えらばれた2メイのおなまえヲ、おしえてくださいまセ』


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