First Round (2)


「……、全然話について行けん」



 オレはそう言うので精いっぱいだった。

 不都合な現実? リセットした状態? 心当たりがある? そこまで言われればひとつ思い当たることがある。


 ここにさらわれる前、確かにおれは隣にいるアリスに刺された覚えがある。そして、もし明確な意思を持って刺していたのならば、普通に考えれば一発で失血死だ。


 つまり、

 が、今リセットした状態で戻れば、と。



「いやいやいやいや、ないないないない。」

 バカかオレは。そんなマンガみたいな結論、今どき小学生でも信じないぞ。

 

と、必死で悩んでいるオレを無視して、


「さて、これで上の蛍光灯の意味もわかったし、あとは引っ張るだけね」

アリスはそう言って、ディスプレイのすぐ上にある、明かりが点いてない蛍光灯のひもを引っ張ろうとした。


「ちょッ、ちょっと待てよ!」


 オレは思わずアリスの手を思いっきり引っ張って、


「わかんないなら、邪魔すんな!!」

逆に振りほどかれてふっとばされてしまった。どんだけ怪力無双なんだ、彼女。


「時間がないのよ! 答えは『〇』よ! ひもを引っ張って!」


 そういってアリスはついていない蛍光灯のひもを引っ張り。



 驚愕した。

「なんで!? 点いてた方の蛍光灯が消えたッ!?」



 アリスは正解を確信していた分、動揺してしまったようだ。ディスプレイには時間のカウントダウンが進められて、すでに30秒を切っている。

 仕方ない。時間がないが、少し『潜って』考えてみよう。




――アリスは9つある蛍光灯のうち、画面に近い北側の蛍光灯をつけた。

――――そうすると、つけた蛍光灯の両隣にある、北東と北西の蛍光灯と、中心のち

      かちか光っている蛍光灯が逆に消えてしまった。

――――――わかりにくいので、図形でイメージ。

――――――――蛍光灯は四畳一間の半畳ごとに一つづつ上にあり、ちょうど南の棚と同

            じように3×3で並んでいる。

――――――――――最初は四隅と真ん中の蛍光灯が点いており、上を見ると「✕」の形

               だ。

――――――――――――どうやら蛍光灯のひもを引っ張ると、隣り合った蛍光灯が逆に

                  消えるらしい。

――――――――――――――それならば、ひもを引っ張る際、隣り合った明かりの点い

                     ていない蛍光灯の場合はどうなるのだろう?




「ユウキ! 何ボーッとしてるの!? わかったの!?」


「ああ、わかった。なるほど、この『クイズ』は確かにサービスレベルだな」

「うっさい! なら早くしてよ!」


 仕方ないとオレは肩をすくめると、もう一度北側のひもを引っ張った後、すぐに真ん中のひもを引っ張った。

 と、ほぼ同時に、




『「ジカンギレ」で~ス。それでは、せいかいをはっぴょうしま~ス』

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