Opening Round (4)

 

 さて、2人で部屋の中を調べてみて、とりあえず色々とわかったことがある。



 まず、今いる場所の感想は、単純に狭い。


 真四角の部屋はせいぜい四畳半というぐらいで、半畳ずつ線が入っており部屋というにもギリギリだ。それぞれ両端には窓があるが何故か外の景色はあやふやで、もやか霧でもかかっているかのようによくわからない。


 よくわからないといえば、時間だ。


 正直、アリスが畳み掛けるように話しかけるため忘れていたが、確かにオレは朝遅刻しそうになり、ぶつかって意識を失った。だから、せいぜい数十分、場所が変わっていることを考えても数時間程度だと考えていた。


 だが、外が薄暗いことを考えれば少なくとも半日は経っているはず。また、さきほど腕時計を確認してみると、時刻はちょうど一二時を指していた。この腕時計は高校の進学祝いに買ってもらったもので、ちょっとやそっとじゃ壊れない電波時計のため、時計が狂っているってことはないだろう。


 何より、出口が無い。


 仮に今向いているほうを北とするなら、東西には窓があるが、はめ殺しになっており開かないし、ガラスは分厚く簡単には割れそうにない。

 次に後ろの南方面は空の棚がある。棚は3×3の大きな本棚のような形で、特に仕掛けなども見当たらない。


 そして、正面の北側には意味深に、



「ディスプレイがあるっと」

「やっぱり、あの画面は怪しいわよね」

と、アリスは興味深そうにうなずいた。


「まあ、もうひとつ、怪しい部分はあるけどね」


「ん、そうか? あの棚も調べた感じ、何かがありそうには見えなかったけど」


「棚じゃなくて、上よ、上」

「上?」


 見上げると蛍光灯が、棚と同じように3×3の並びになっており、中央と四隅でちかちかと光っている。よく見るといくつかの電球はもともと明かりが点いていないようだ。それぞれにひもが合計9本ぶら下がっている。


「なんだ? 蛍光灯が切れそうで怪しい雰囲気になってるってことか?」


「ま、いいわ。今の段階じゃ情報が少なすぎるし、本当に誘拐だったとしても、私たちが無茶をしないよう、そろそろ何か言ってくるはずよ」


 アリスが自信満々に言うと、まるでそれにこたえるかのように、ディスプレイに映像が流れだした。




『――……あーっ、アーッ。まいくてすっ、まいくてスッ。ホンジツもセイテンなリ。みなさ~ン、きこえてますカ~? おまたせいたしましタ。それでは、「クイズ」をハジめまス』






Opening Round Clear.


 ……and, to the First Round.

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