Opening Round (2)

 ここで、いまさらながら簡単に、自己紹介をしてみる。



 オレの名前は、カミヅキユウキ。


 県内でそこそこ有名な進学校の、特進クラスというやつで、まあそれなりに上位の成績をおさめている、いわゆる普通の高校2年生だ。


 部活動は特にしていないが、別に体力に自信がないわけではないし、生徒会に入っているため先生方の評判も悪くない。


 が、しかし、生まれつき目が悪いせいか、とにかく目つきが悪い。コンタクトが苦手なため普段は眼鏡を着用しているが、ほぼ意味をなさないほどに目つきが悪い。


 また、普通の人より頭一つ分大きく、身長が高いためどうしても相手を見下す形になってしまう。そのせいで小学生の時は先生に反抗的だと叱られ、中学生の時は先輩や他校の生徒によくからまれた。

 まあそのたびに、こっちも反発したりよく喧嘩をしてしまったのだが。おかげで異性には敬遠され、同性の友達はできてもすぐに離れて行ってしまった。


 だからこそ、必死で勉強して地元から離れた高校に進学し、妙な噂が立たないよう奉仕活動などには積極的に参加し、風邪をひこうが台風が来ようが無遅刻無欠席を一年間続け、努力の甲斐あってようやく人並みの評価が得られるようになってきたのだ。


 昨晩は近々ある実力テストに向けて、夜遅くまで勉強しすぎてしまい、うっかり寝すぎて初めて遅刻しそうになり、大慌てで全速力で走っていたところ、曲がり角から人がぶつかってきて、ぶつかった相手はなぜか美少女で、なぜか腹にはナイフが刺さってて……、





「あーはいはい、わかったわかった。大体分かったからもういいわ」


「って、いきなり人の話ぶった切って、なにがわかったんだよ」


「さえない奴がさえない話をして、あげくこの状況を打破できるようなことが何一つわからないってことがよっ!」

と、今度は左アッパーで物理的に話を止めに来た。いや、いくらなんでも凶暴すぎやしないか、彼女。


「そういうお前こそ、手がかりの一つくらい、」

「ア、リ、ス!」

「……そういうアリスこそ、手がかりくらい知らないのかよ」


「まあ残念ながら、美少女がさえない男と二人っきりで閉じ込められているって状況しか、今のところわからないわね」

「自分で美少女とか言うか、普通」


「なによ。大体ユウキ、あたしのこと知らないの?」


「へ? いや、さすがにこんな強烈な子とあってれば、記憶にくらい残っているとは思うけど……」

「じゃなくて! ほんとにあたしのこと知らないの?」


「うん」

「ガーンッ!! そっか、まだまだあたしの知名度もそんなものか……」


「なに、アリスって芸能人かなんかなの?」


「芸能人ってよりはアイドルね。ま、んじゃ、これみてよ」

と、アリスがポケットからスマホを取り出して、動画を再生した。


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