第4章 俺たちの旅は、これからだ!
第34話 水晶祭
外階段を下りて、「砦の食堂」が面している通りに出ると、わたしの目の前を仮面の一団が通り過ぎていくのに出会った。
まあ、たぶんこのあたりの子供たちの集まりなのだろう。
中にはわたしのよく知っている顔も混じっているのかもしれなかったが、なにぶん全員が目元を
なんとなく、話だけで聞いたことのある、
ひょっとすると本当にいろいろと色あざやかな羽根を持っていて、あんなふうに群れて飛んでいるのかもしれなかったが、もしそれがほんとうだったとしても、同じようにきゃいきゃいと甲高く歌い散らしているような鳥だったらいやだな。
わたしはそんなことを思いながら、ぱたぱと浮き足立った一団が遠くなり、
中央広場のあたりでは、そろそろ気の早い商人たちが、お祭りの飾りを壁に取り付け、飾り旗やランプを吊るす縄を通りに渡し始めている頃だろう。
そしてノルクナイでは
名前からすれば、水晶の王にちなんだ由来があるはずだと思うし、お祭りの季節、いちばん
像はきれいに洗われ、その前にはたくさんの花が供えられているけれど、何のためにそんなことをしているのかというと、皆の意見は一致しなかった。
あるものは
ガドルフ爺さんなら何か知ってるかと思って聞いてみたことがある。
「ああ、あれだ、ほら、かつて北の地へと旅立った水晶の王の帰還を待つ人が、待ちきれなくなって、歓迎の準備を勝手に始めて、ついには街中を行進するようになってどんどん大きくなっていったってわしは聞いたがな」
爺さんは手にした書類になにやら書きこんていた手をひと時止め、めんどくさそうに顔を上げるとうつろな声であらぬ方向をみあげながら答えた。
「へえ、歓迎のパレードが元にゃのか。じゃあ仮面付けたりするのは?」
「そりゃ、
「ん?」
爺さんは、さっとすばやく目線を書類に戻した。
「そうそう、たしか
それだけいっきに言い切ると、爺さんはしっしつと猫を追い払うような仕草をした。まあ、猫なんだけどね。
「わしゃ忙しいんじゃ、仕事の話じゃないんなら、あっちいけ」
まあ、無礼講でばか騒ぎするためのものなんだろうにゃ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます