小さなつむじ風

 黒い花びらひらひらと

 そっと湖面にキスをする

 やわらかい波紋が広がっていく


 どくん

 心臓の音

 何も聞こえない世界で

 自分の生きている証拠を実感するよ


 ちっちゃなちっちゃな女の子

 今日も元気にはしゃぎます

 子狐たちと追いかけっこをしています


 コスモスが風に揺れて

 その可憐さに気付けなかったあの頃

 もう随分と時は過ぎていた

 緑色の虫たちがほら今日も変わらず元気そうで


 ちっちゃなちっちゃな女の子

 バッタの背中に乗ってチキチキキ…

 ぴょんぴょん跳ねて楽しいね

 羽根があるのに落ちていくね


 風はまた僕らに解けない謎を問いかけてくる

 世界中を旅する君に不思議なんて何一つない気がする

 どうか僕も連れていってよ

 世界の始まる泉から世界の果てる崖っぷちまで


 風のマントの端をしっかり掴んだあの人は

 今頃どんな風景を楽しんでいるのかな

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