秋 実りの季節

まるい瞳

 空はすっかり夕暮れて

 あの眩しかった頃がうそのよう

 虫たちが演奏会の準備をしています


 ちっちゃなちっちゃな女の子

 草のタクトをふりふりと

 虫たちの演奏を指揮します


 りりりりりーん りりりりりーん

 思い思いに虫たちは歌うよ

 どうしてこんなに安らぐんだろう


 薄暗くなった道の途中

 騙し絵のように瞳が光る

 二つ 四つ 六つ…気がつけばそこに


 白いのや黒いのやブチなのや

 よおく見ると猫たちぞろぞろ月光浴

 びっくりしなくていいよ 安心してよ

 僕はただ仲良くしたいだけ


 少しばかりの涼しい風が猫たちをここまで導いたんだね

 明日も明後日も変わらない日々が続いてく

 季節の移り変わりだけが退屈を忘れさせてくれる


 ちっちゃなちっちゃな女の子

 気持ち良さそうに草のタクトをふりふりり

 でもそんなのデタラメだって本人だって知ってます


 虫たちの歌は一晩中

 優しい風がゆっくり草を揺らしてる

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