第2話 怒られる俺

 案の定、昨日のことについて担任に呼び出された。

 まぁ、そりゃあそうか。始業式出てねぇんだもんな。

 にしても、誰か起こせよな。

 あのクソ女。こういう時こそ頑張れよ。

 なんて思いながら職員室に。


「失礼しまーす」


 手っ取り早く終わらせるため、誠意を見せる意味も込め、真面目にする。


「あー、きたきた。じゃ、品川さんと盛岡くんは僕に付いてきて」


 担任のメガネはそう言うや、座ってた椅子から立ち上がり職員室を出る。

 つーか、なんでこのクソ女いるわけ?

 しかもこいつ、俺の方見て笑ってやがるし。気持ちわりぃ。


「んだよ」


 あまりにもじっと見てくるのでつい言ってしまう。無視してぇのに。


「うんん、何でもない。行こっ!」


 満面の笑み。長い黒髪をサラッとなびかせる。シャンプーのいい匂いがした。

 あー、一瞬でも可愛いって思った俺死ね。

 俺はあの日、決めただろ。


「行くから、先行けよ」


 俺が動き出すのを待つ告白女にそう言い、歩きだした。

 そして、着いた場所は生徒指導室。

 まじかよ。俺初めて入るよ。


「ほら、入って来なさい」


 職員室の時とは違い、完全に怒ってらっしゃる。


「何でここまで来たかわかるか?」


「昨日のことっすか」


 生徒指導室に入ってすぐ、この質問。メガネ、テンプレ過ぎんだろ。


「そうだよ。お前たち、始業式からサボりとかどんな神経してんだよ」


 はぁ!? こいつもサボったのか?

 どうして?


「なにか言えよ」


 完全にお怒りモードのメガネなんて気にもならない。気になるのは何でこのクソ女までサボったのかってことだけ。


「おい、先生」


「おい、とはなんだ!

 盛岡、いま怒られてんだぞ?」


「分かってますよ。でも、この女のこと見逃してやれよ。俺が寝てたの起こしてくれてただけだからよ」


 癪に障るが、今回は俺に非があるからな。

 予想通り、告白女は顔を染めてやがる。


「はぁ、何言ってるんだ?」


「だから、悪いのは全部俺だから。俺1人で怒られてやるって言ってんだよ」


 ちょっとイラっときて、口調が荒くなる。


「でも2人が来なかったのは事実だからな、そんなことは出来ない」


 このメガネ面倒くせぇ。


「おら、お前も早くでろ。後は俺だけでいいから」


 メガネの答えなんて関係なく、俺は告白女を部屋から追い出した。


「勝手なこと!」


 告白女を連れ戻そうと、部屋から出ようとするメガネを制止する。


「行かせねぇよ。俺が怒られてやるって言ってんだからいいじゃねぇか」


 俺のがメガネより背が高いから上から言う。

 メガネは鼻息を荒げながらも諦めたらしく、そこから俺は1時間以上怒られた。

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